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ヨリビケ
特集 | 米国株

AI株を売っていたのは誰か ヘッジファンドは5営業日で「2025年からの買い越し」を全部吐き出した(ゴールドマン) 韓国は1日で7.6%安、台湾は海外勢が3026億台湾ドルの売り、日本は急落の前週に1.4兆円の買い越し

先週のAI関連株の急落は、借金の多いAI企業への不安(18日の記事)だけでなく、「誰が売ったか」でも説明できる。ゴールドマン・サックスのプライムブローカー部門の集計では、ヘッジファンドは10月8日から14日までの5営業日でAI株を売り続け、2025年初めからの買い越しをすべて吐き出した。損失が最も大きかったのはアジアに重点を置くファンドで、韓国と台湾では海外勢の売りが記録的な規模になった。日本株への資金の流れとあわせて整理する。

桐生レオン ・ 特集 08:06 ・ 2026年10月19日
動画:Bloomberg Television「AI Selloff, Oil & Treasury Yields Pressure Markets」(英語) YouTube で見る

ゴールドマン・サックスのプライムブローカー部門(ヘッジファンドに資金と取引の場を貸す部門)のビンセント・リン氏のリポートを、タイガー・ブローカーズとKuCoinが伝えている。それによると、ヘッジファンドは10月8日から14日までの5営業日、世界のAI関連株を売り越し、2025年初めから積み上げた買い越しをすべて解消した。売りの中身は、買い持ち(ロング)の売りが空売り(ショート)の約3.5倍で、新しく下落に賭けたのではなく、持っていた株を手放した形だ。ファンド全体のグロス・レバレッジ(買いと売りの合計の総額に対する比率)は310.3%で過去5年の94パーセンタイル、ネット・レバレッジは73.3%で10月に入って4.3ポイント下がった。AI株への配分は6月初めの31.7%から26.1%に減った。ロイターによると、売りは15日まで6営業日連続に伸び、銘柄選別型のロング・ショート型ファンドは15日までの1週間で2.9%の損失(年初来では14.3%の利益)、アジアに重点を置くファンドは10月前半で6.8%の損失となり、6月末の高値(年初来40%超の利益)からの利益の半分以上を失った。

きっかけは金利だ。台北タイムズによると、9月の米消費者物価は前年比3.7%上昇で予想の3.6%を上回り、利上げの観測が強まった。ロイターが引用したエルレン・キャピタルのブルーノ・シュネラー氏は「混み合った取引が、インフレという現実にぶつかった」と説明する。ゴールドマンのリッチ・プリボロツキー氏は「痛みの出る取引は『AI株の買い・債券の売り』で、その両方が巻き戻っている」、同社アジアのレイチェル・フー氏は「台湾の取引の手応えからは、今回の投げ売りの水準は7月より深い」と述べた(タイガー・ブローカーズ)。ロイターによると、ゴールドマンは、銘柄選別型・システム運用型・マルチストラテジーの3つの戦略が同じ日に0.8%超下げた日は今年3回(2月4日、7月28日、10月15日)あり、新型コロナ以降2025年末までは一度もなかったと指摘している。ただし15日のポジション圧縮(買いの売却と空売りの買い戻し)は14日のおよそ半分で、売りの勢いは週の終わりにかけて鈍った。

最も強く出たのがアジアだ。韓国の総合株価指数KOSPIは15日、一時9.29%安まで下げて20分間取引が止まり(今年10回目のサーキットブレーカー)、終値は454.59ポイント(7.57%)安の5554.22。海外勢は3.6兆ウォン(約27億ドル)を売り越して8営業日連続の売り越しとなった(ロイター、中央日報)。ソウル経済によると、取引停止の時点でサムスン電子は9.91%安、SKハイニックスは11.28%安だった。台湾の加権指数は同じ15日に1655.96ポイント(3.41%)安の4万6969.87で、海外勢の売り越しは3025.6億台湾ドル。13日の1653.4億台湾ドル(フォーカス台湾によると過去3番目の大きさ)を、さらに上回った(台北タイムズ、フォーカス台湾)。買い手は投信(283億台湾ドル)だけだった。日本では日経平均が15日に6万4425.95円と前日比4.90%安となり、16日に1.39%反発した。韓国は16日、亜洲経済によると海外勢が1721億ウォンの買い越しに転じてKOSPIは2.05%高の5668.05で終えたが、10月2日の7003.74からはなお約2割低い。

日本株への資金の流れは、ここまで逆向きだ。東京証券取引所が16日に発表した投資部門別売買状況では、急落の前の週(10月5〜9日)に海外投資家は現物株を1兆4318億円買い越し、買い越し額は4月第2週以来およそ半年ぶりの大きさだった。先物では売り越しで、現物と先物を合わせると1兆949億円の買い越し(みんかぶ)。日経によると、配当の二重課税を避けるための9月末の売りが巻き戻った面がある。つまり、ヘッジファンドがAI株を売り始めた8日の時点で、海外勢は日本株全体としては買い手だった。10月12〜16日の週に売りに転じたかどうかは、22日(木)に東証が発表する次の週の数字で分かる。

この先に見るのは四つある。第一に22日の投資部門別売買状況で、海外勢の日本株の売買がどちらに振れたか。第二に、ゴールドマンがレバレッジの水準について「ポジション圧縮の余地が残る」としている点で、次のリポートでグロス・レバレッジ(310.3%)が下がるかどうか。これは同社の見方で、ヨリビケの予想ではない。第三に、21日(日本時間22日朝)のテスラ・メタ・IBM・テキサス・インスツルメンツの決算で、AI投資の回収について各社がどう説明するか。第四に、韓国・台湾で海外勢の連日の売り越しが止まるかどうかで、韓国の16日の買い越しが続くかは、週明けの数字で確かめたい。27〜28日のFOMCは、この売りの起点になった金利の判断そのものだ。

数字で見る

ヘッジファンドのAI株の売り10/8〜14の5営業日で売り越し、2025年初からの買い越しを全部解消(ゴールドマンPB、タイガー・ブローカーズ/KuCoin)、15日まで6営業日連続(ロイター)
売りの中身・レバレッジロングの売り:ショートの売り ≒ 3.5:1、グロス 310.3%(5年で94パーセンタイル)、ネット 73.3%、AI株の配分 31.7%→26.1%(同)
ファンドの成績銘柄選別型ロング・ショート 10/15までの週 −2.9%(年初来 +14.3%)、アジア重点 10月前半 −6.8%(ロイター)
KOSPI 10/155554.22(−454.59、−7.57%、一時 −9.29%)、海外勢 −3.6兆ウォン、8日連続の売り越し(ロイター、中央日報)
台湾加権 10/154万6969.87(−1655.96、−3.41%)、海外勢 −3025.6億台湾ドル、売買代金 1.319兆台湾ドル(台北タイムズ、フォーカス台湾)
日経平均 10/15→10/166万4425.95円(−4.90%)→ 6万5324.29円(+1.39%)(ヨリビケの照合記録)
海外投資家の日本株 10月第1週(10/5〜9)現物 +1兆4318億円(半年ぶりの大きさ)、現物+先物 +1兆949億円(東証、日経・みんかぶ)
ヨリビケの見方台湾の15日の海外勢の売り越し3025.6億台湾ドルは、その日の売買代金1.319兆台湾ドルの22.9%にあたる。韓国のKOSPIは10月2日の7003.74から15日までに20.7%下げた一方、日経平均は10月6日の最高値7万683.98円から16日まで7.6%安で、同じ「AI株の売り」でも下げ幅は韓国が日本のほぼ3倍だ。日本では急落の前週に海外勢が現物を1兆4318億円買い越しており、売りが日本に本格的に及んだかどうかは、22日の数字(10/12〜16の週)で初めて確かめられる。

次に見るポイント

  • 22日(木)東証の投資部門別売買状況(10/12〜16):海外投資家が日本株を売り越したか
  • 21日(日本時間22日朝)テスラ・メタ・IBM・TIの決算:AI投資の回収の説明
  • ゴールドマンの次のプライムブローカー・リポート:グロス・レバレッジ310.3%が下がるか
  • 韓国・台湾の海外勢の売買:連日の売り越しが止まるか(韓国は16日に買い越し)
  • 27〜28日 FOMC:売りの起点になった金利の判断

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動画:CNBC International「Global AI sell-off deepens」(英語) YouTube で見る
動画:KBS News「코스피·코스닥 동반 '서킷브레이커'…7% 급락 마감」(韓国語、10/15) YouTube で見る

出典

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