アンソロピック、上場書類を公開 4〜6月期の売上高は115億ドル超で営業黒字、1〜6月は前年同期の約14倍 みずほ・MUFGの米証券子会社も引受団に
AI「Claude」を開発する米アンソロピックが、米国時間26日(月)、上場のための登録届出書(S-1)を米証券取引委員会(SEC)に公開で提出した。ナスダックに銘柄コード「ANT」で上場する計画だ。書類の四半期ごとの表では、4〜6月期の売上高は115億5500万ドルで、営業損益は9億7400万ドルの黒字だった。
日向かなえ ・ 朝刊 05:30 ・ 2026年10月27日S-1 によると、アンソロピックはクラスA普通株をナスダック・グローバル・セレクト市場に上場することを申請した。1〜6月の売上高は162億8600万ドル(1〜3月期 47億3100万ドル+4〜6月期 115億5500万ドル)で、前年同期の11億6300万ドルの約14倍。営業損益は1〜3月期の16億6700万ドルの赤字から、4〜6月期は9億7400万ドルの黒字に変わり、1〜6月の合計では6億9300万ドルの赤字だった。純損失は1〜6月で807億4800万ドル。このうち724億ドルは、会社の評価が上がったことで転換社債などの公正価値が上がった分の会計上の費用だと書類は説明している(株探は売上高・営業損失・純損失の同じ数字を、AP は724億ドルの会計上の費用を伝えている)。売り出す株数と公開価格の仮の範囲は、会社の発表でも「まだ決まっていない」とされ、書類の該当の欄は空いている。
売上が急に伸びた理由について、書類は2025年11月の新しいモデル「Opus 4.5」の投入を挙げ、前の四半期と比べた売上の伸びが10〜12月期の48%から1〜3月期の132%に速まったと説明している。費用の面では、計算能力(コンピュート)とインフラの費用が売上に占める割合が、2025年1〜3月期の251%から2026年4〜6月期は48%に下がった。売上の伸びが、あらかじめ契約していた計算能力の費用の伸びを上回ったためだ。一方で、1〜6月の売上の48%は、アマゾン(AWS)・グーグル(GCP)・マイクロソフト(Azure)のクラウドの売り場を通したものだった。
影響は、計算能力を売る側と金融機関に広がる。書類によると、アンソロピックはアマゾンの「Trainium」、グーグルの「TPU」、エヌビディアとAMDの GPU の4種類の半導体を使い分けている。6月末より後に新しく結んだり内容を変えたりした計算能力などの契約の支払い義務は約2450億ドル(2026〜2036年に始まり、期間は最長20年)にのぼる。26日の米国市場では、みんかぶと共同通信が、この書類の公開をきっかけにAI関連株に買いが戻ったと伝え、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は2.82%上げた。日本との関係では、引受会社として主幹事のゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーを含む22社が並び、その中にみずほフィナンシャルグループの米国の証券子会社(Mizuho Securities USA)と、三菱UFJフィナンシャル・グループの米国の証券子会社(MUFG Securities Americas)が入っている。両社の関連会社は、アンソロピックの借入枠(クレジット契約)の幹事にも名を連ねている。売り出しには日本での公募も含まれるが、日本の取引所への上場は予定していないと書類にある。
この先の焦点は、公開価格と規模、時期だ。NBCニュースは、上場は11月中旬と広く見込まれていると伝え、ブルームバーグは早ければ11月9日の週に投資家への売り込み(ロードショー)を始めると報じた。APは、年初の非公開の資金調達での評価が9650億ドルで、上場では1.5兆〜2兆ドルへの上昇が報じられ、調達額は最大1000億ドルとの報道もあると伝えている。共同通信は、史上最大規模とみられる上場が最終段階に入ったと報じた。今週は、売上の約半分の売り場になっているアマゾン・アルファベット・マイクロソフトの決算も控える。
※ヨリビケの動画と記事の制作には、アンソロピックの AI「Claude」を使っています。
数字で見る
| 上場の申請 | ナスダック・グローバル・セレクト市場、銘柄コード「ANT」(S-1、米国時間10/26。会社の発表・AP) |
|---|---|
| 1〜6月の売上高 | 162億8600万ドル(前年同期 11億6300万ドルの約14倍。S-1・株探) |
| 4〜6月期 | 売上高 115億5500万ドル/営業利益 9億7400万ドル(S-1 の四半期の表。NBC は売上の前年同期比 +1368% と報道) |
| 1〜6月の営業損益/純損益 | 営業損失 6億9300万ドル/純損失 807億4800万ドル(S-1・株探)。うち会計上の費用 724億ドル(S-1・AP) |
| 6月末より後の計算能力などの契約 | 支払い義務 約2450億ドル(2026〜2036年に開始、最長20年。S-1) |
| 引受会社 | 主幹事のゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーなど22社。Mizuho Securities USA、MUFG Securities Americas も(S-1) |
| 上場の時期(報道) | NBC「11月中旬と広く見込まれる」、ブルームバーグ「早ければ11月9日の週にロードショー」 |
次に見るポイント
- S-1 の改訂版:空欄の株数と公開価格の仮の範囲
- ロードショーの開始(ブルームバーグは早ければ11月9日の週と報道)と上場日
- 今週のアマゾン・アルファベット・マイクロソフトの決算:1〜6月の売上の48%が3社のクラウドの売り場経由(S-1)
関連する動画
出典
- SEC EDGAR「Anthropic, PBC - Form S-1」(2026/10/26)
- Anthropic「Anthropic files S-1 with the SEC for proposed initial public offering」(2026/10/26)
- 株探「アンソロピック、ナスダック上場に向けIPO申請書類を公開」(2026/10/26)
- AP(Yahoo Finance)「Artificial intelligence giant Anthropic files papers to sell shares to the public for the first time」(2026/10/26)
- NBC News「Anthropic IPO filing reveals $80 billion net loss, spending spree」(2026/10/26)
- Bloomberg(Yahoo Finance)「Anthropic Is Said to Plan Public Filing for Mega-IPO Monday」(2026/10/26)
- 共同通信(新潟日報)「アンソロピックが上場目論見書を当局に提出」(2026/10/26)
※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。









