中国の長鑫科技、売上8倍でも株価は7%安 メモリー高騰は峠かの議論
中国のDRAM大手・長鑫科技(CXMT、上海の科創板に上場)は16日夜、1〜9月期の売上高が前年同期の8倍超、純利益が1310億〜1325億元になる見込みだと発表した。だが7〜9月期だけを取り出すと純利益の伸びは前期比1〜4%にとどまり、19日の株価は午前の取引で7.64%安。先週、週間で2割以上下げたサムスン電子・SKハイニックスは19日、下げて始まったあと持ち直している。メモリーの値上がりが峠を越えたのかが、半導体株の次の論点になっている。
白石ひかり ・ 特集 13:06 ・ 2026年10月19日
長鑫科技の業績予告(監査前の見込み)によると、1〜9月期の売上高は2650億〜2700億元で前年同期比726〜741.5%増、親会社株主に帰属する純利益は1310億〜1325億元で、前年同期の52.8億元の赤字から黒字に転じた(IT之家、新浪財経)。会社は理由として、2025年下期からAI向けの計算需要でDRAMの需要と価格が上がったこと、生産能力の拡大と工程の改善で1枚のウエハーから取れる量と稼働率が上がったことを挙げている。あわせて朱一明会長が10億〜20億元の自社株買いを提案した。
市場が反応したのは、四半期ごとの変化だ。新浪財経と第一財経の計算では、9か月分から上半期を引いた7〜9月期の売上高は1147億〜1197億元で前期比15〜20%増、純利益は534億〜549億元で前期比1〜4%増にとどまる。4〜6月期は売上高995.1億元・純利益528.4億元で、1〜3月期から4〜6月期にかけて純利益が2倍以上になったのに比べると、伸びが急に鈍った形だ。背景にあるのがメモリー価格の上がり方で、調査会社TrendForceによるとDRAMの契約価格は1〜3月期が前期比90〜95%、4〜6月期が58〜63%、7〜9月期が13〜18%の上昇で、10〜12月期は10〜15%の見通しと、上げ幅が縮んでいる。同業の江波龍も7〜9月期の非GAAP純利益が前期比22〜38%減と予告している(第一財経)。長鑫科技の株価は7月27日の上場後、8月17日に61.8元・時価総額4.13兆元の高値をつけたが、10月15日に43.59元まで下げ、19日は午前の取引終了(現地11時30分)時点で7.64%安の41.58元、時価総額は2.82兆元(東方財富)。第一財経によると、A株の時価総額の首位から3位に下がった。
この議論は韓国と米国にも広がっている。ソウル経済新聞によると、先週(10月12〜16日)の1週間でサムスン電子は17.8%、SKハイニックスは24.3%下げた。テスラのイーロン・マスクCEOが13日にマイクロンのメモリー価格の姿勢を「妥当」と評し、15日には「中国は2028年に大量のRAMを作る」とXに書いたことも、韓国勢への売りの材料になったと報じられている(ソウル経済、Startup Fortune)。一方で、長鑫科技が今年中に出すという新構造(4F²)のサーバー向けDRAMについては、RosenblattやみずほなどのアナリストがCXMTの工程の成熟度と歩留まりは未検証だとし、ソウル経済はウォール街に「張り子の虎」との見方もあると伝えている。アップルがCXMTのメモリーを試験しているとの報道(ソウル経済)は、同紙以外では確認できていない。19日の韓国市場は、KOSPIが一時3.17%安の5488.41まで下げたあと、10時33分時点で0.26%高の5682.69に戻した(fnnews)。12時48分時点でサムスン電子は0.81%高の21万7250ウォン、SKハイニックスは0.86%安の126万1000ウォン(ネイバー金融)。
日本への波及は二つに分かれる。メモリーを作る側のキオクシア(285A)は19日12時45分時点で1.38%高の1万3560円と、半導体が売られる中で上げている(Yahoo!ファイナンス)。一方、メモリーの検査装置を手がけるアドバンテストは午前に2.8%前後安(フィスコ)。意外なところでは、メモリーを大量に買う側だ。サーバー、パソコン、スマートフォン、ゲーム機のメーカーにとって、DRAMの値上がりは部材費の上昇であり、上げ幅が縮むことは作る側と逆向きに効く。ただし、価格の上昇率が鈍っているだけで、TrendForceの見通しでは10〜12月期も値上がりは続く。
次に見るのは、各社の7〜9月期の確定決算だ。SKハイニックスは27日ごろの発表が複数のデータサイトで予定されている(会社の正式な日程は要確認)。サムスン電子は8日の暫定発表で売上高195兆ウォン・営業利益107.4兆ウォンとしており、10月末の確定決算で部門別の内訳が出る。長鑫科技の正式な四半期報告も10月末。日本ではキオクシアが30日に決算を予定している。価格の面では、TrendForceの10〜12月期の契約価格が見通しの10〜15%上昇どおりかどうかが、作る側と買う側のどちらに風が向くかを決める。
数字で見る
| 長鑫科技 1〜9月期(業績予告 10/16、監査前) | 売上高 2650〜2700億元(前年同期比 +726〜741.5%)、純利益 1310〜1325億元(前年同期 −52.8億元) |
|---|---|
| 7〜9月期(新浪財経・第一財経の計算) | 売上高 1147〜1197億元(前期比 +15〜20%)、純利益 534〜549億元(前期比 +1〜4%) |
| 4〜6月期 | 売上高 995.1億元、純利益 528.4億元(新浪財経) |
| 株価(東方財富) | 8/17 高値 61.8元(時価総額 4.13兆元)→ 10/15 43.59元 → 10/19 午前終値 41.58元(−7.64%、2.82兆元) |
| DRAM契約価格 前期比(TrendForce) | 1〜3月 +90〜95%、4〜6月 +58〜63%、7〜9月 +13〜18%、10〜12月 見通し +10〜15% |
| 韓国 週間 10/12〜16(ソウル経済) | サムスン電子 −17.8%、SKハイニックス −24.3%。10/19 12:48: 21万7250ウォン(+0.81%)、126万1000ウォン(−0.86%)(ネイバー金融) |
| 日本 10/19 | キオクシア 12:45 1万3560円(+1.38%)(Yahoo!ファイナンス)、アドバンテスト 午前 −2.8%前後(フィスコ) |
次に見るポイント
- 10/19 15:30 韓国市場の大引け。サムスン電子・SKハイニックスが午前の戻りを保つか
- 10/27ごろ SKハイニックスの7〜9月期決算(複数のデータサイトの予定日。会社の正式な日程は要確認)
- 10月末 サムスン電子の確定決算(10/8の暫定: 売上高195兆ウォン・営業利益107.4兆ウォン)と長鑫科技の正式な四半期報告
- 10/30 キオクシア(285A)の決算(Yahoo!ファイナンスの予定)
- TrendForce の10〜12月期 DRAM契約価格が見通し(+10〜15%)どおりか
出典
- IT之家「长鑫科技 2026 年三季度预计归母净利润 1310~1325 亿元,同比扭亏为盈」(10/16)
- 新浪財経「长鑫科技三季度净利环比预增仅1%-4%,两个月市值蒸发超1万亿」(10/16)
- 新浪科技(第一財経)「长鑫科技盘中市值蒸发超1900亿元,A股市值跌落到第三」(10/19)
- 東方財富 長鑫科技(688825)
- ソウル経済新聞「CXMT Sales Jump Sevenfold, Stoking Debate Over China's DRAM Ambitions」(10/19)
- Startup Fortune「Micron shares slide as Elon Musk wades into the memory chip rout」(10/15)
- fnnews「KOSPI turns higher after an early-session plunge」(10/19 10:43)
- ネイバー金融 SKハイニックス(000660)
- Yahoo!ファイナンス キオクシアホールディングス(285A)
※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。



