ヨリビケについて 1分動画 YouTube @yoribike 11/3 更新
ヨリビケ- MARKET NEWS -
速報 | 暗号資産 | 2026年11月1日 18:55

バイナンス、FBIが北朝鮮の関与を発表 被害の95%を補塡し出金を再開

暗号資産(仮想通貨)の取引所で世界最大手のバイナンスから約63億ドル(約9900億円)が盗まれた事件で、米連邦捜査局(FBI)は米国時間10月31日(土)、北朝鮮のハッカー集団「トレーダートレイター」が関わったと発表した。バイナンスは11月1日(日)、盗まれた分の約95%を自社の資金で補塡したとして、止めていた出金をビットコインなどから段階的に再開した。月曜の東京市場を前に、30日(金)の記事で挙げた「入出金の再開」と「だれが穴埋めするか」に答えが出始めた。

動画:ANNnewsCH「暗号資産の不正アクセスに北朝鮮が関与 米FBI 盗難被害の影響は1兆円規模」(11/1) YouTube で見る

ロイター(NBCニュースが配信)とアルジャジーラによると、FBIは31日の声明で、今回の盗難を北朝鮮が国として支援するハッカー集団「トレーダートレイター」によるものとした。盗まれた資産は主にイーサリアムに換えられており、分散型金融(DeFi)や即時交換のサービスを使って、さらに資金洗浄が進むとみている。FBIは暗号資産の事業者に、犯人が使うアドレスとの取引を止めるよう求めた。同じ集団は、2025年2月のバイビットの約15億ドルの盗難でもFBIが名前を挙げており(FBI の2025年2月26日の注意喚起)、今回はその約4倍にあたる。日経も1日、FBIが北朝鮮のハッカー集団の関与を発表したと伝えた。

バイナンスの穴埋めは、盗まれたトークンを取り戻したのではなく、会社のお金で同じトークンを買い直して埋める形だ。ロイターによると、バイナンスは31日にXで「盗まれた分の90%を補塡した」と発表し、損失に充てるため会社の資金約63億4000万ドルを社内で確保したとした。財源は、ビットコインで持つ利用者保護の基金(SAFU、約10億ドル)の一部、先物取引の保険基金の一部、会社の手元資金だという(ロイター、アルジャジーラ)。共同CEOのリチャード・テン氏は1日、補塡は「約95%」に進んだと述べた(crypto.news。CryptoPotatoもバイナンスの発表として95%と伝えている)。残りの約5%は売買の少ないトークンで、市場や相対取引で買い進めているという。日経も、バイナンスが1日に被害額の約95%を補塡したとしていると伝えている。

出金は、日本時間1日15時〜18時(協定世界時6時〜9時)の第1段階で、ビットコイン・イーサリアム・BNBチェーン・ソラナ・XRPなど15のネットワークから順に再開を始めた(crypto.news、CryptoPotato)。最初に戻ったのはビットコインで、創業者のチャンポン・ジャオ氏も「BTCの出金が再開した」と投稿した(crypto.news)。ほかのネットワークとトークンは安全確認のあと順に戻すとしており、全面再開の日程は示していない。入金は、AFPによると当初は出金とあわせて止めたが、その後バイナンスが「影響はない」とした。利用者の資産を1対1以上で持っていることを示す「準備金の証明」は、協定世界時31日0時時点の分を公表済みで、ビットコインやイーサリアム、USDTなど10種類は全額の裏付けがあるとした。暗号を使った完全な証明は11月3日(火)までに出す見込みと crypto.news は伝えている。

値動きは、いまのところ落ち着いている。ビットコインは日本時間1日18時46分時点で7万7900ドル台(コインゲッコー、コインベース、クラーケン)と24時間で0.8%前後の上げで、事件が伝わった30日昼の水準(7万8176ドル)とほぼ同じ。ただ、事件の前の8万1000ドル台には戻っていない。東京市場では30日、ビットコインを大量に持つメタプラネットが終値244円(−7.58%)と昼の時点(−4.92%)から下げ幅を広げ、夜間取引(PTS)でも240円だった。リミックスポイントは222円(−5.13%)で引けた(株探、Yahoo!ファイナンス)。30日は日経平均も2.12%下げており、関連株の下げのどこまでが事件によるものかは切り分けられない。

読み解きのポイントは、補塡の95%という数字の中身だ。95%は「盗まれた資産が戻った割合」ではなく、「バイナンスが自腹で埋めた割合」を示している。利用者の損は避けられる見通しになった一方、穴埋めの大半はSAFU以外の会社の資金から出ており、取引所の財務がその分だけ細ったことになる。バイナンスはSAFUを約10億ドルの水準に戻す計画だといい(crypto.news)、それがどこまで速く進むかも安全網の厚さに関わる。この先の注目は、残り5%の補塡と全面的な出金の再開、11月3日(火)までとされる暗号の証明、そして資金洗浄の行方だ。3日は日本は文化の日で休場のため、東京市場の反応はまず2日(月)に出る。

数字で見る

被害額約63億ドル(約9900億円)(バイナンス発表。ロイター、日経)。チェイナリシスの推計は盗難時点の価値で約59億1200万ドル(AFP、10/30)
FBIの発表米国時間10/31(土)、北朝鮮のハッカー集団「トレーダートレイター」の関与と発表(ロイター、アルジャジーラ、日経)
補塡の割合10/31 90% → 11/1 約95%(バイナンス、テン共同CEO。ロイター、crypto.news、日経)
補塡に確保した資金会社の資金 約63億4000万ドル(ロイター、crypto.news)。財源はSAFU・先物の保険基金・手元資金
出金の再開11/1(日)15:00〜18:00(日本時間)の第1段階で15ネットワーク。全面再開の日程は未定(crypto.news、CryptoPotato)
ビットコイン(米ドル建て)11/1 18:46 7万7900ドル台、24時間で約+0.8%(コインゲッコー、コインベース、クラーケン)
メタプラネット(3350)10/30 終値 244円(−20円、−7.58%)、夜間PTS 240円(株探、Yahoo!ファイナンス)
リミックスポイント(3825)10/30 終値 222円(−12円、−5.13%)、夜間PTS 220円(株探、Yahoo!ファイナンス)
ヨリビケの見方被害額約63億ドルの95%は約60億ドル。SAFU(約10億ドル)を全額充てたと仮定しても、補塡額の8割超にあたる約50億ドルは、SAFU以外の会社の資金(先物の保険基金・手元資金など)から出た計算になる(ヨリビケ計算)。10/30 の記事では、SAFUで賄えるのは推計の約17%と書いたが、実際にそれを大きく超える分を会社が自分で埋めた。CoinDeskが引用したDefiLlamaのデータでは、事件前のバイナンスの保有資産は約1440億ドルで、被害額はその約4.4%にあたる。ビットコインは11/1 18時46分に7万7900ドル台と、30日昼の7万8176ドルから約0.3%しか動いておらず、補塡の発表で事件前の水準に戻ったわけではない。

次に見るポイント

  • 11/2(月) 東京市場でメタプラネット・リミックスポイントなど暗号資産関連株の動き(30日の終値はそれぞれ−7.58%・−5.13%)
  • 残り約5%の補塡と、第2段階以降の出金の再開の日程
  • 11/3(火)までとされる「準備金の証明」の暗号を使った完全版の公表(日本は文化の日で休場)
  • FBIが示したアドレスからの資金洗浄の行方と、凍結額がさらに増えるか
  • バイナンスが調査の終了後に出すとしている事件の報告書

関連する動画

動画:TBS NEWS DIG「暗号資産バイナンス1兆円被害 FBIが北朝鮮の関与を発表 マネーロンダリングの可能性も」(11/1) YouTube で見る

出典

白石ひかり ・ 特集 18:55 ・ 2026年11月1日

※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。

次に読む