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速報 | 為替・金利 | 2026年11月3日 14:50

中国人民銀、外貨預金の準備率を4%→6%に 元高のペースを抑えに

中国の中央銀行、中国人民銀行は11月3日(火)、銀行が外貨預金から中央銀行に積んでおく割合(外貨預金準備率)を4%から6%に引き上げると発表した。適用は11月15日(日)から。人民元は今年、対ドルで5%を超えて上がっており、市場ではその勢いを弱める狙いとみられている。発表のあと、人民元は対ドルで一時0.37%下げた(ロイター)。

動画:Bloomberg Television「Asian Stocks Fall Ahead of US Midterms」(11月3日のアジア市場) YouTube で見る

人民銀行は3日、外貨預金準備率を2ポイント引き上げて6%にすると発表した(ロイター、台湾の中央通信社)。外貨預金準備率は、中国の銀行が受け入れたドルなどの外貨の預金のうち、貸し出しなどに回さず中央銀行に預けておく割合だ。人民銀行は目的を「金融機関の外貨の流動性の管理を強めるため」と説明した。ロイターは公式の外貨預金のデータから、銀行の手元から約240億ドルが吸い上げられると試算した。中央通信社も、9月末の外貨預金 約1.2兆ドルをもとに同じ約240億ドルと伝えている。

背景は、強すぎる人民元だ。ロイターによると、人民元は今年に入って対ドルで5%を超えて上がり、2022年以来の高さにある。台湾の聯合報は、10月30日(金)に一時1ドル=6.659元と2022年6月以来の元高をつけ、4か月続けて上がる勢いだったと伝えた。理由として各社が挙げるのは、好調な輸出と大きな貿易黒字、そして企業が稼いだドルを人民元に替える動きだ。聯合報が伝えた国家外貨管理局の数字では、銀行の外貨の売買は9月だけで562億ドル、1〜9月で約3941億ドルの「ドルを売って元を買う」超過だった。中央通信社によると、人民銀行は10月に為替についての考えを示した際、「為替の問題を政治化してはならない」とも述べている。

今回の措置は、2023年9月15日に6%から4%へ下げた判断を逆に戻すものだ。当時の引き下げは、人民元の急な下落とお金の国外への流出を止めるためだった(ロイター)。引き上げは2021年12月15日(7%→9%)以来になる(中央通信社が伝えた澎湃新聞)。銀行の手元のドルが減って借りにくくなれば、ドルの値段が支えられ、人民元の上げを抑えやすい、という仕組みだ。人民銀行は同じ3日、毎朝示す人民元の基準値も2日続けて元安寄りの1ドル=6.7150元に置いた。ロイターの予想より661ポイント元安で、9月10日以来の大きな差だった。

市場の反応は限られた。人民元は発表のあと一時1ドル=6.6728元まで下げ、10月23日(金)以来の元安になった(ロイター)。ただ、ANZ のシニア中国ストラテジスト、邢兆鵬氏は「象徴的な意味合いのほうが大きい」とし、企業の活発なドル売りが生んだ偏りを準備率だけでは直せないとみる。MUFG(中国)のマルコ・サン氏は、元高の勢いを弱め、一方向の期待を防ぐ狙いと説明した。ロイターは、市場関係者はこの措置で元の上昇の流れが逆転するとは予想していない、と伝えている。読み解くと、準備率と基準値の2つで同じ日に「元高はゆっくりに」という合図を出したが、吸い上げる額は外貨預金の2%にとどまり、市場はまだ流れが変わったとは受け取っていない、という形だ。

日本の投資家にとっての関わりは、円と元の関係だ。3日14時ごろのドル円は157円80銭台(フィスコ、ザイFX)で、人民元の6.67元で割ると、1元は約23.7円にあたる(ヨリビケ計算)。一般的に、元高・円安が進むほど、中国で稼ぐ日本企業の売上や利益は円に直したときに大きく見え、逆に元高が止まればその分は小さくなる関係にある。中国の輸出企業にとっては、元高は値段の競争で重しになる。この先は、休み明けの4日(水)の東京市場、毎朝の人民元の基準値がさらに元安寄りに置かれるか、そして適用日の15日をはさんで元の上昇のペースが鈍るかが焦点になる。

数字で見る

外貨預金準備率(11/3 火 発表)4% → 6%(+2ポイント)、11/15(日)から=人民銀行(ロイター、中央通信社)
吸い上げる額約240億ドル(ロイター試算。中央通信社は9月末の外貨預金 約1.2兆ドルをもとに同額)
人民元の動き(11/3)発表後に一時1ドル=6.6728元、0.37%の元安。10/23以来の元安=ロイター
人民元の基準値(11/3)1ドル=6.7150元。2日続けて元安寄り、ロイター予想より661ポイント元安=ロイター
年初来の人民元対ドルで5%超の元高、2022年以来の高さ=ロイター。10/30に一時6.659元=聯合報(ロイター)
前回までの調整2023/9/15 6%→4%(引き下げ)、2021/12/15 7%→9%(引き上げ)=中央通信社(澎湃新聞)、ロイター
1元は何円?約23.7円(3日14時ごろのドル円 157円80銭台÷6.67元。ヨリビケ計算)
ヨリビケの見方吸い上げる約240億ドルは、9月末の外貨預金 約1.2兆ドルの2%で(1.2兆ドル×2ポイント、ヨリビケ計算)、円にすると約3.8兆円(1ドル=157.8円で計算)。一方、聯合報が伝えた国家外貨管理局の数字では、銀行を通じたドル売り・元買いの超過は9月の1か月だけで562億ドルあり、今回の吸い上げ額はその半分にも満たない。人民銀行が同じ日に基準値も2日続けて元安寄りに置いた(ロイターの予想より661ポイント元安、9月10日以来の大きな差)ことは、「元高を止める」より「元高のペースを落とす」合図として読める。

次に見るポイント

  • 11月4日(水):休み明けの東京市場。円・元・ドルの動き
  • 毎朝の人民元の基準値(日本時間10時15分ごろ):元安寄りの設定が続くか
  • 11月4日(水)朝から:米中間選挙の開票。ドルの動きを通じて人民元・円にも
  • 11月15日(日):外貨預金準備率6%の適用。その前後の元の上昇のペース

関連する動画

動画:Bloomberg Television「China Stocks Rise on Reports of Market Support Measures」(中国株と当局の下支え) YouTube で見る

出典

御堂聡一 ・ 特集 14:50 ・ 2026年11月3日

※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。

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