ヨリビケについて 1分動画 YouTube @yoribike 11/5 更新
ヨリビケ- MARKET NEWS -
速報 | 原油・中東 | 2026年11月3日 18:48

米軍がイランの島を限定攻撃 原油は反発、前日の下げの2割を戻す

米軍が米国時間2日(月)の夜、ホルムズ海峡の入り口にあるイランのゲシュム島を限定的に攻撃したと、米メディアが米政府高官の話として伝えた。前日に和平への期待で7%あまり下げた原油は3日(火)に反発し、北海ブレント原油先物は日本時間18時34分に1バレル106.55ドルと1.70%高い。ただ、戻したのは前日の下げの約2割にとどまる。

動画:ANNnewsCH:米軍がイランの島を攻撃 中間選挙前日「限定的空爆」(2026年11月3日) YouTube で見る

テレビ朝日系(ANN)によると、CNN は米政府高官の話として、米軍がゲシュム島を「限定的に空爆した」と報じた。高官は、イランが地対空ミサイルで米軍を攻撃するのを防ぐための防衛的な措置だと説明している。中東の英字紙ザ・ナショナルによると、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)も米当局者の話として攻撃を伝え、ホルムズ海峡で商船が狙われるのを防ぐ目的で、ここ数週間続く「限定的で目立たない」攻撃の一つだとした。大規模な軍事作戦の再開を示すものではない、という位置づけだ。イランの国営通信は島で複数回の爆発があったと伝え、革命防衛隊はホルムズ海峡の上空で米軍の無人機を撃墜したと発表したが、ヨリビケでは確認できていない。

値動きを見ると、前日の下げの大きさが目立つ。北海ブレント原油先物(1月限)は2日(月)、1バレル104.77ドルで清算され、前週末の113.43ドルから8.66ドル(7.63%)下がった。米国のWTI原油先物も96.46ドルと7.36%安い(Yahoo Finance、ザ・ナショナル)。ロイターによると、イランとカタールの仲介役の協議が進み、イランのペゼシュキアン大統領が最高指導者から和平協議について「一定の権限」を与えられたと述べたことで、戦争が終わるとの期待が広がった。攻撃の報道を受けた3日(火)は、ロイターの集計で日本時間16時44分にブレントが106.61ドル(1.76%高)、Yahoo Finance では18時34分に106.55ドル、WTI は98.14ドルだった。

交渉はまだ続いている。ロイターによると、イランの高官は合意は「まだ遠い」とし、米国の「行き過ぎた要求」は受け入れないと話した。イラン国会のガリバフ議長は国営メディアを通じて「ボールは米国の側にある」と述べている。トランプ大統領は3日(火)の中間選挙の投票の前には新たな攻撃をしないとしていた(豪AAP通信、ヨリビケの2日の記事)が、今回の攻撃について米当局は「防衛的な措置」と説明している。市場の見方では、KCM Trade のティム・ウォーター氏が、攻撃の報道で軍事行動がまだ続いていることを思い出させ「流れが変わった」と述べ、フィリップ・ノヴァのプリヤンカ・サクデバ氏は、供給が乱れるおそれが値段の下支えになっていると話した(いずれもロイター)。

日本への波及では、原油を買う先の変化が意外な点だ。資源エネルギー庁の石油統計速報によると、9月の原油の輸入に占める中東の割合(中東依存度)は68.4%で、前の年の9月の94.7%から26.3ポイント下がった。ホルムズ海峡を通らない調達が進み、9月の輸入先ではアラブ首長国連邦に次ぐ2位が米国(254万キロリットル、前の年の約14.7倍)になった。JETRO も財務省の貿易統計から、米国からの調達が中東の減少を補う形だと分析している。それでも全体の約7割はまだ中東からで、海峡をめぐる動きは電力会社の燃料費やガソリンの値段に関わる。

東京市場は3日が文化の日で休みのため、2日(月)のニューヨークの急落と3日の反発は、4日(水)の取引でまとめて受けることになる。2日の東京の終値は、ニューヨークの急落の前で、石油・ガスの開発を手がけるINPEX(1605)が4054円(11円安)だった。夜間の私設取引(PTS)では2日23時58分に3994円と、終値より1.5%安い値段が付いていた(株探)。一般に原油安は資源の権益を持つ会社には逆風、燃料を多く使う空運や海運には追い風になりやすい。米中間選挙の開票は日本時間4日の朝から始まり、トランプ政権が選挙の後にイランへの対応をどうするかが次の材料になる。

数字で見る

ブレント1月限(11/2 月 清算値)104.77ドル(前週末113.43ドルから −8.66ドル、−7.63%)(Yahoo Finance・ザ・ナショナル)
WTI(11/2 月 清算値)96.46ドル(前週末104.12ドルから −7.66ドル、−7.36%)(Yahoo Finance・ザ・ナショナル)
ブレント(11/3 火 16:44)106.61ドル(+1.84ドル、+1.76%)(ロイター)
ブレント(11/3 火 18:34)106.55ドル(+1.78ドル、+1.70%)。3日の高値107.21ドル(Yahoo Finance)
WTI(11/3 火 18:34)98.14ドル(+1.68ドル、+1.74%)(Yahoo Finance。ザ・ナショナルも98ドル台と報道)
日本の中東依存度(9月)68.4%(前年同月94.7%から −26.3ポイント)。輸入先2位は米国 254万kl(資源エネルギー庁の石油統計速報、LNEWS 掲載)
INPEX(11/2 月)終値4054円(−11円、−0.27%)。PTS 3994円(23:58)(株探)
ヨリビケの見方3日(火)18時34分のブレントは、前日の清算値より1.78ドル高い。前日の下げ幅8.66ドルのうち戻したのは約21%で、2割ほどにとどまる(ヨリビケ計算)。3日の高値107.21ドルで見ても約28%だ。また、2日の東京の取引時間中(10時33分)のブレントは111.05ドルだった(ヨリビケの2日の記事)。今の106ドル台はそれより約4.5ドル低く、4日(水)の東京市場は、2日の取引のときより安い原油の値段を前提に始まることになる。9月の輸入先の上位5か国のうち中東の4か国(アラブ首長国連邦448万・サウジアラビア133万・オマーン29万・クウェート22万キロリットル)を足すと632万キロリットルで、全体の925万キロリットルの68.3%になり、発表の中東依存度とほぼ合う(ヨリビケ計算)。

次に見るポイント

  • 11月4日(水)朝から:米中間選挙の開票。選挙後のトランプ政権のイランへの対応
  • 11月4日(水):休み明けの東京市場。INPEX・ENEOS・空運・海運の反応
  • カタールの仲介による米国とイランの協議。ホルムズ海峡の通航を戻す案の行方
  • 11月12日(木):INPEXの決算発表(株探の予定)
  • 11月29日(日):OPEC+の全体会合。2027年の生産の枠組み

関連する動画

動画:Bloomberg Television「US Hits Iran's Qeshm Island as Hormuz Talks Keep Oil Markets on Edge」(11月3日) YouTube で見る

出典

日向かなえ ・ 特集 18:48 ・ 2026年11月3日

※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。

次に読む