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特集 | 企業・決算 | 2026年11月1日 12:40

イビデンってどんな会社? 好決算なのにストップ安、水力発電から「AIの土台」まで

岐阜県大垣市のイビデンは10月30日(金)、前日に業績予想を引き上げたばかりなのにストップ安(−15.21%)になりました。1912年に水力発電の会社として生まれ、いまはAIの半導体を支える「ICパッケージ基板」で知られる会社です。何を作り、なぜ株価がインテルとともに揺れるのかを、決算資料と有価証券報告書から整理します。

動画:イビデン株式会社(公式)「【イビデン】3分でわかる!会社紹介」(2026年6月29日) YouTube で見る

イビデンは10月29日(木)15時20分、4〜9月期の決算と、今期の営業利益予想の再引き上げ(1270億円→1330億円)、配当の増額、約1510億円の追加投資を発表しました。ところが翌30日は売り気配から始まり、ストップ安の8359円(−1500円、−15.21%)で取引を終えました。出来高は1071万株。株価は2025年末の3365円から、7月1日に上場来高値の1万3740円(株式分割を調整した値)まで約4.1倍になっていた会社です。

主力は「ICパッケージ基板」です。パソコンやAIのサーバーの頭脳にあたるチップ(CPU・GPU)と、大きな基板(マザーボード)のあいだに入り、髪の毛より細いチップの配線と太い基板の配線をつなぐ土台の部品です。2026年4〜9月の売上2625億円のうち電子事業が1725億円(66%)、営業利益601億円のうち500億円(83%)を占めます。ほかにディーゼル車の排ガスのすすを取るフィルターなどのセラミック事業もあり、会社は1999年に乗用車向けで実用化したとしています。

始まりは1912年の「揖斐川電力」。揖斐川の水の力で電気を起こす会社で、初代社長の立川勇次郎は京急の前身、大師電気鉄道を創業した人物でもあります。余った電気を使うために1917年に大垣で電気炉の工場を開き、カーバイドの生産を開始。戦後はメラミン化粧板で建材の会社になりましたが、1973年の石油ショックで建材が大打撃を受け、化粧板の技術をもとにプリント配線板へ。1982年に社名をイビデンに変え、1987年にICパッケージ基板の営業を始めました。1921年に動き出した東横山発電所は、今も会社が持っています。

チップ(CPU・GPU)とマザーボードのあいだに入るICパッケージ基板の位置を示した図
イビデンが作るのは、チップと大きな基板をつなぐ「土台」(ヨリビケ作成)(タップで拡大)

長く最大の取引先はインテルでした。河島浩二社長は、ピーク時はインテル向けが売上の7割を超えていたと話しています(東洋経済)。有価証券報告書では、売上に占めるインテル向けは30.9%(2024年3月期)、20.8%(2025年3月期)、18.1%(2026年3月期、753億円)と下がり、代わってエヌビディアが29.4%(1225億円)で最大の取引先になりました。会社は、AIデータセンター向けGPUの高機能なICパッケージ基板で約8割のシェアを持つと推定しています(会社の推定)。

では10月30日はなぜ下げたのか。前夜、インテルが示した10〜12月期の見通し(売上高150億〜160億ドル)が市場予想を下回り、インテル株はニューヨークで28.58%下落しました(1974年以来の大きな下げ)。MINKABUはイビデンを「インテル関連株の筆頭格」と位置づけ、売り注文が集まったと伝えています。4月24日にはインテルの好調な見通しで上場来高値を更新し、7月27日にはインテル株の急落で連想売りが出るなど、今年も同じ動きが見られました。

売上に占める割合(2026年3月期):エヌビディア29.4%、インテル18.1%
最大の取引先はインテルからエヌビディアへ(出所:有価証券報告書・ヨリビケ作成)(タップで拡大)

この先で決まっていることは、2026〜28年度の3年で電子事業に約5000億円(大垣市の河間事業場と大野町の大野事業場)を投じる計画と、10月29日に決めた約1510億円の追加投資(決算短信では「CPU向け」、説明会では「EMIB用」と説明)です。エヌビディアは10月21日、大野工場に数十億ドル規模の前払いをして生産能力を3倍にし、増えた分を2028年1〜3月から立ち上げると発表しました。同時にサムスン電機(韓国)とユニミクロン(台湾)とも契約しており、会社も最先端の分野は「3社体制」になると説明しています。

10/29にイビデンが上方修正、10/30にインテル株が28.58%安、イビデンはインテル関連株として売られストップ安15.21%
10月30日に起きたこと(出所:株探・MINKABU・フィスコ・ヨリビケ作成)(タップで拡大)

数字で見る

本社岐阜県大垣市(東証プライム)
創業1912年(揖斐川電力)
10/30 終値8359円(−1500円、−15.21%、ストップ安)
今期の営業利益予想1330億円(期初900億→8/4 1270億→10/29 1330億円、前期比約2.1倍)
4〜9月の業績売上2625億円(+34.3%)、営業利益601億円(+84.6%)
最大の取引先エヌビディア 29.4%(2026年3月期、1225億円)
インテル向け18.1%(2026年3月期、753億円)
時価総額約4兆7428億円(10/30、株探の表示)
ヨリビケの見方売上に占めるインテル向けは18.1%(2026年3月期)まで下がりましたが、10月30日は1日で時価総額が約8500億円減りました(1500円×約5億6739万株、ヨリビケの計算)。業績の中身はエヌビディア向けへ移っても、株価の上では今もインテルと一緒に動く場面がある――数字から見えるのはこの2つのずれです。

次に見るポイント

  • 11/2(月)東証:ストップ安のあと最初の取引(11/3は文化の日で休場)
  • 11/4(水)半期報告書の提出予定
  • 11/18(水)日本時間の朝:エヌビディアの8〜10月期の決算
  • 11/25(水)中間配当の支払開始
  • 今年度中:追加投資(Cell7・9など)の決定・開示、中期の見通しの見直し(会社)

関連する動画

動画:日本経済新聞「イビデン『100歳』水力発電所、カーボンゼロに一役」(2021年12月4日) YouTube で見る
動画:ぎふチャン「最先端のICパッケージ基板生産 イビデン『大野事業場』が量産稼働開始」(2025年10月20日) YouTube で見る
動画:日経ビジネス「【AIデータセンター】異次元270兆円市場、商機とリスク/特需に沸くイビデン」(2026年6月24日) YouTube で見る

出典

日向かなえ ・ 特集 12:40 ・ 2026年11月1日

※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。

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