バイナンスで巨額の不正流出 推計59億ドル、メタプラネット5%安
暗号資産(仮想通貨)の取引所で世界最大手のバイナンスが、米国時間29日(木)にハッキングを受けたと認めた。ブロックチェーン分析会社チェイナリシスは、盗まれた額を盗難時点の価値で約59億1200万ドル(約9300億円)と推計している。ビットコインは一時7%近く下げ、東京市場ではビットコインを持つメタプラネットが4.92%安(30日 13:30時点)となっている。
AFPによると、バイナンスはX(旧ツイッター)でハッキングを認め、「すべての損失を補償する」と表明した。日本時間30日(金)の朝には、安全確認と資金の凍結、捜査当局との連携のために入金と出金を一時止めると発表した。被害額の見方は分かれている。チェイナリシスの推計は約59億1200万ドル(AFP、CoinDesk)。CoinDeskなどは、バイナンス自身が影響額を約63億ドルと見積もったと伝えている。一方で、創業者で大株主のチャンポン・ジャオ氏は損失を「10億ドルを少し上回る」程度とみている(AFP)。確定した被害額はまだ出ていない。
原因について、バイナンスは公式Xで、初期調査では運用担当のエンジニアのノートパソコンが乗っ取られ、そこから社内のシステムに入られて不正な出金が出された可能性があると説明した。ウォレットの秘密鍵が漏れた証拠は見つかっていないともしている。だれが攻撃したかについて、バイナンスは名前を挙げていない。分析会社TRMラボは北朝鮮のハッカー集団「トレーダートレイター」によるものと「高い確信」を持って判断したと、CoinDeskが伝えた。これまでの最大の被害は2025年2月のバイビットの約15億ドル(AFP)で、今回の推計はその約4倍にあたる。
盗まれた資金の一部はすでに止められている。ドル連動型の暗号資産(ステーブルコイン)を発行するテザーは約15億6000万〜16億ドル分、サークルは8億ドル超分を凍結した(AFP、TechCrunch、CoinDesk)。凍結の合計は、CoinPostによるとバイナンスが確認した分で25億4000万ドル、CoinDeskによるとチェーン上で約30億ドルに増えている。ステーブルコインは発行元が特定のアドレスの資金を動かせなくできるため、ビットコインやイーサリアムで盗まれた分より止めやすい。
値動きは暗号資産から株へ広がった。ビットコインは米ドル建てで、日本時間30日1時台の8万1000ドル台から、午前中に7万6000ドル台まで下げた(クラーケンの24時間の高値8万1882ドル・安値7万6330ドル、下落率は約6.8%)。13時46分時点では7万8176ドル(コインベース)に戻している。取引所のトークンBNBは一時10%近く下げた(AFP)。東京市場では、ビットコインを大量に持つメタプラネットが13時30分時点で251円(−4.92%)、リミックスポイントが224円(−4.27%)(株探、トレーダーズ・ウェブ)。国内の取引所では、NADA NEWSによると、bitFlyerが30日、バイナンス宛ての暗号資産の送付を制限していると公式Xで発表し、自社のシステムと顧客の資産への影響はないと説明した。なお30日の東京市場は、米国のAI関連株安で日経平均が1400円前後下げており、暗号資産関連の下げがどこまでバイナンスの件によるものかは切り分けられない。
読み解きのポイントは、被害額そのものより「どれだけ止められたか」と「だれが穴埋めするか」だ。チェイナリシスの推計に対し、確認済みの凍結は4割強にとどまる。バイナンスは利用者保護の基金(SAFU、2018年設立)と自社の資金で補償するとしているが、CoinDeskによるとSAFUはビットコインで約10億ドル相当で、推計の約17%にあたる。残りは会社の資金で賄うことになる。この先の注目は、入出金がいつ再開するか、凍結額がさらに増えるか、そして今夜の米国市場で暗号資産関連株や、ビットコインを持つ企業の株がどう受け止められるかだ。
数字で見る
| 盗まれた額の推計(盗難時点の価値) | 約59億1200万ドル(チェイナリシス。AFP、CoinDesk) |
|---|---|
| ほかの推計 | バイナンス自身 約63億ドル(CoinDesk)/創業者ジャオ氏「10億ドルを少し上回る」(AFP) |
| 凍結された額 | テザー 約15.6億〜16億ドル、サークル 8億ドル超(AFP、TechCrunch)。合計はバイナンス確認分で25.4億ドル(CoinPost)、チェーン上で約30億ドル(CoinDesk) |
| ビットコイン(米ドル建て) | 24時間の高値 8万1882ドル → 安値 7万6330ドル(−6.8%、クラーケン)。10/30 13:46 7万8176ドル(コインベース)、24時間で −2.2%(コインゲッコー) |
| メタプラネット(3350) | 10/30 13:30 251円(−13円、−4.92%)(株探、トレーダーズ・ウェブ) |
| リミックスポイント(3825) | 10/30 13:30 224円(−10円、−4.27%)(株探、トレーダーズ・ウェブ) |
| これまで最大の被害 | 2025年2月 バイビット 約15億ドル(AFP) |
次に見るポイント
- バイナンスの入出金の再開の時期と、調査結果の公表
- テザー・サークルなどによる凍結額がさらに増えるか(いまはバイナンス確認分で25.4億ドル)
- 10/30(金)夜 米国市場で暗号資産関連株とビットコイン保有企業の株の動き
- 11/2(月) 東京市場でメタプラネットなど暗号資産関連株の動き
- 国内の取引所(bitFlyerなど)のバイナンス宛て送付の制限がいつ解かれるか
出典
- Binance 公式X(初期調査の説明)
- AFP「Crypto platform Binance confirms major hack, more than $2.5bn frozen」(Yahoo Finance、2026/10/30)
- CoinDesk Japan「バイナンス、史上最大の暗号資産ハッキング」(2026/10/29・30更新)
- TechCrunch「Binance pauses withdrawals as hackers suspected of stealing billions in crypto」(2026/10/29)
- CoinPost「バイナンスから9000億円以上の仮想通貨が不正流出」(Yahoo!ファイナンス、2026/10/30)
- トレーダーズ・ウェブ「メタプラネット-急落」(Yahoo!ファイナンス、2026/10/30)
- NADA NEWS「bitFlyer、バイナンスへの送金を制限」(2026/10/30)
御堂聡一 ・ 特集 13:50 ・ 2026年10月30日※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。









