さくらネット、営業益予想を64%上げ GPUほぼフル稼働、株価は一時ストップ高
国内でGPU(AI向けの計算用の半導体)を貸し出すさくらインターネット(3778)は28日(水)の昼、今期の営業利益の予想を25億円から41億円へ64%引き上げた。前期に買い込んだGPUがフル稼働に近い状態を保ち、貸し出す値段も上げられたためだ。発表後に株価は急伸し、Yahoo!ファイナンスによると12時45分に一時ストップ高の3470円をつけた。
御堂聡一 ・ 特集 12:47 ・ 2026年10月28日会社の発表によると、4〜9月期(上期)の売上高は228億2700万円(前年同期比46.0%増)、営業利益は29億6300万円で、前年同期の9億2000万円の赤字から黒字に転じた。7月に示した上期の予想(営業利益22億円)を34.7%上回り、上期として売上高・営業利益とも過去最高だった。通期(2027年3月期)の予想は、売上高を455億円から466億円に、営業利益を25億円から41億円に、純利益を15億円から25億5000万円に引き上げた。前期は4億300万円の営業赤字だった。あわせて、創業30周年の記念配当1株2円50銭(基準日は9月30日、支払いの開始は12月14日(月))を決めた。期末の配当予想5円50銭は変わらず、年間では8円(前期は5円)になる。
伸びを引っぱったのはGPUの貸し出しだ。決算説明資料によると、エヌビディアのH100・H200・B200を使うGPUインフラのサービスは、7〜9月期の売上高が前年同期比で約3.7倍(+271.1%)になった。通期では208億5000万円(前期比+156%)を見込み、会社全体の売上高の約45%を占める計算になる。会社は「特定の大口顧客のみに依存せず」に営業の網を広げ、契約が終わったGPUもすぐ次の顧客に貸していると説明している。7月には、国の生成AIの開発支援事業(GENIAC)でSakana AIが同社のGPUの貸し出しを採用した。
ただ、上振れの理由は売上だけではない。会社は、8月に公表した不正アクセス(レンタルサーバの一部の環境と、会員情報を扱う販売管理システムへのアクセス)への対応を優先し、広告・イベントや採用の一部を見直したと説明している。国の「ガバメントクラウド」向けの環境への影響は確認されていないとし、事案が今期の業績に与える影響は「限定的」としている。株価は前場を3090円(前日比123円高、4.15%高)で終えており(株探・日経)、決算は株探によると昼休み中の12時30分に出た。後場は買いが集まり、一時ストップ高の3470円(前日比503円高、16.95%高)まで上げた。上げ幅は前場の終わりの約4倍にあたる。この日の東京市場は、株探によると半導体関連株への買いが相場を引っぱっていた。
波及の面では、GPUを大量に動かすデータセンターは電気を多く使う。会社の資料でも、前年同期からの費用の増加の中に電力費と、前期に投資したGPUの減価償却費・リース料が並ぶ。今期の投資計画には、次の世代のGPU(Rubinなど)に260億円、データセンターの発電機棟に44億円を挙げている。国産のGPUクラウドの需要は、電力設備や空調、データセンターの建設にもつながる。ヨリビケが26日(月)に伝えたスペースXのマスク氏の「ネオクラウド(GPUを貸す新しいクラウド会社)は淘汰される」という発言とは対照的に、国内の貸し出し先は埋まっている、というのが今回の会社の説明だ。
この先の注目は下期の費用だ。会社は、下期の売上高は上期を上回るとしつつ、上期に見送った採用(下期は約70人を予定、上期は12人)や、創業30周年のイベント・ウェブ広告などの費用が下期に集中すると説明している。一方で、GPUのサーバーは3年で償却しており、2027年1月から順に減価償却が終わり始めるという。次の世代のGPUへの投資がいつ・どの規模で売上につながるか、GPUの稼働が高いまま続くかが、次の決算で確かめられる点になる。
数字で見る
| 上期(4〜9月)売上高 | 228億2700万円(前年同期比+46.0%、上期で過去最高)(会社発表・株探) |
|---|---|
| 上期 営業利益 | 29億6300万円(前年同期は9億2000万円の赤字、7月予想22億円を34.7%上回る)(会社発表) |
| 通期 営業利益の予想 | 25億円→41億円(+64.0%、前期は4億300万円の赤字)(会社発表) |
| 通期 経常利益の予想 | 23億円→39億円(+69.6%)(会社発表・株探) |
| GPUインフラの売上(通期の見込み) | 208億5000万円(前期比+156%、売上全体の約45%)(決算説明資料、割合はヨリビケ計算) |
| 配当 | 創業30周年の記念配当2円50銭(基準日9/30)+期末5円50銭=年8円(前期5円)(会社発表) |
| 株価(10/28) | 前引け3090円(+123円、+4.15%)(株探・日経)、12:45に一時ストップ高3470円(Yahoo!ファイナンス)。前日終値2967円 |
次に見るポイント
- 10月28日(水)15時30分:アドバンテストの決算(AI・半導体関連の流れ)
- 10月29日(木)午前3時(日本時間):FOMCの結果
- 12月14日(月):記念配当2円50銭の支払い開始(基準日9月30日の株主が対象)
- 2027年1月から:前期までに入れたGPUの減価償却が順に終わり始める(会社の説明)
- 次の決算(第3四半期、日付は未発表):GPUの稼働、下期の費用の進み具合
関連する動画
出典
- さくらインターネット「第2四半期連結業績予想と実績値との差異及び通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」(10/28、TDnet)
- さくらインターネット「剰余金の配当(創業30周年記念配当)に関するお知らせ」(10/28、TDnet)
- さくらインターネット「2027年3月期第2四半期(中間期)決算短信」(10/28、TDnet)
- さくらインターネット「2027年3月期 第2四半期 決算説明資料」(10/28)
- 株探「さくらネット、今期経常を70%上方修正、配当も2.5円増額」(10/28 12:30)
- Yahoo!ファイナンス さくらインターネット(3778)の株価
- 日本経済新聞 さくらインターネット(3778)の株価
※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。









