東京エレクトロンってどんな会社? 塗布・現像の装置で世界シェア91%、赤坂の商社から装置で世界4位へ 30日の決算で見る3つ
東京エレクトロン(8035)の株価が100円動くと、日経平均はおよそ51円動く(10月28日時点、ヨリビケ計算)。作っているのは半導体そのものではなく、半導体を作るための機械で、なかでも塗布・現像の装置は世界の91%を占める(2025年、会社の決算説明会資料)。30日(金)16時の決算を前に、どんな会社で、どこから来て、決算のどこを見ればいいのかをまとめた。
御堂聡一 ・ 特集 06:40 ・ 2026年10月29日東京エレクトロンが作るのは、半導体を作るための機械(半導体製造装置)だ。会社は自らを、成膜→リソグラフィ(塗布・現像)→エッチング→洗浄という4つの続いた工程のすべてに装置をもつ会社と説明している。たとえるなら、成膜はシリコンの円盤(ウェーハ)にクリームを薄く均一に塗るような作業、塗布・現像は写真のフィルムを塗って、焼き付けたあとに現像する係、エッチングは型紙どおりに彫刻刀で削る作業、洗浄は工程のたびに手を洗うことにあたる(たとえはヨリビケ)。光で回路の模様を焼き付ける露光装置そのものはオランダのASMLなどが作り、東京エレクトロンはその前と後ろの「塗る・現像する」を受け持つ。会社の決算説明会資料(出所はGartner)によると、塗布・現像の装置(コータ/デベロッパ)の2025年の世界シェアは91%で、Shared Researchも同じ数字を載せている。会社は、最新型の高NA EUV(露光装置)向けの塗布・現像装置ではほぼ100%だとしている。ほかに、ウェーハ上のチップを1つずつ調べる装置(プローバ)や、ウェーハを貼り重ねる装置(ボンダー)も手がける。

始まりは1963年11月。東京放送(TBS)の出資で、東京・赤坂に「東京エレクトロン研究所」として設立された(資本金500万円、会社の沿革・有価証券報告書)。創業者の久保徳雄氏と小高敏夫氏はともに総合商社の出身で、最初は海外の装置を輸入して売る商社だった。1960年代の終わりに米サームコとの合弁で拡散炉を国内で作り始め、1978年に今の社名に変えた。1980年に東証2部に上場し、1989〜91年には半導体製造装置の売上で3年続けて世界1位になった(会社の沿革)。1983年には、今のライバルの米ラムリサーチと合弁会社を作ったこともある。2013年9月には米アプライド・マテリアルズと経営統合で合意したが、米司法省が、両社が示した対策では失われる競争を補えないと判断し、2015年4月27日(日本時間)に統合を取りやめた(アプライド・マテリアルズの発表)。

いまは、半導体製造装置メーカーの売上で世界4位だ(2025年、TechInsightsとCINNO。1位ASML、2位アプライド・マテリアルズ、3位ラムリサーチ)。2026年3月期の売上高は2兆4435億円で過去最高、営業利益は研究開発費が増えて6249億円(前期比10.4%減)だった(決算短信)。時価総額は10月28日の終値で約22兆9453億円(株探・Yahoo!ファイナンス)、社員は約2万人。売上の行き先は、2026年4〜6月で中国30.4%、台湾25.4%、韓国20.8%、日本8.8%(会社資料からヨリビケ計算)で、2年前の同じ時期は約半分が中国だった。日本政府は2023年7月23日から先端の半導体製造装置23品目を輸出管理の対象にし、中国向けには個別の許可が要るようになった。米国では、中国向けの装置の販売や保守サービスまで止める超党派の法案「MATCH Act」が4月に出されたが、成立は確認されていない。4月27日には台湾の裁判所が、元社員がかかわったTSMCの機密情報の事件で、台湾子会社に1億5000万台湾元の罰金(お客さまと台湾政府に払うことを前提に執行猶予3年)の判決を出した(有価証券報告書)。会社は組織的な関与は確認されていないとしている。

追い風はAIだ。業界団体のSEMIは7月14日、2026年の半導体製造装置の世界の売上高を過去最高の1659億ドル(前年比23.2%増)と予測し、HBMを含むDRAM向けの装置は39.0%増の388億ドルとした。会社も、AIデータセンター向けが前工程の装置の市場の50%に達する勢いで伸びていると説明し、チップを積み重ねる技術(先端パッケージ)向けの装置の今期の売上を70%以上増やす計画を示している。株価の重さも大きい。日経平均の中での比重(ウェート)は10月28日時点で7.75%と、アドバンテスト、ファーストリテイリングに次ぐ3番目だ(日経平均プロフィル)。この日、日経平均は685.82円上がり、そのうち209.85円分を東京エレクトロン1社が押し上げた(みんかぶ)。一方、株価は28日の終値で9805円と、7月1日(水)の年初来高値1万6252円より39.7%低い(株式分割を調整、株探・Yahoo!ファイナンス)。22日(木)には、米ラムリサーチの決算後の下げが波及して6.99%下げた(松井証券)。
30日(金)16時に4〜9月期の決算が出る。見るところは3つ。1つ目は、7月30日に引き上げた会社の予想(売上高1兆6200億円・営業利益4580億円)に対する実績だ。2つ目は、会社が初めて出す通期(2027年3月期)の予想。会社は4月、顧客の生産の歩留まりやクリーンルームの空き、地政学やエネルギーの問題など変わりうる要因が多いとして、半年分の予想だけを出していた。市場の予想では、アイフィスがまとめた通期の経常利益の平均が1兆368億円、米バーンスタインは通期の営業利益を約1兆円とみており、1兆円前後の見方が多い。3つ目は、地域別の売上での中国の割合だ。なお10月1日に1株を5株に分けたため、1株あたりの数字は、分割前の株数で出した予想(上期の1株利益767.51円、中間配当384円)とそのままでは比べられないおそれがある。
数字で見る
| 塗布・現像装置の世界シェア | 91%(2025年、Gartner・会社の決算説明会資料/Shared Research) |
|---|---|
| 半導体製造装置メーカーの売上順位 | 世界4位(2025年。1位ASML・2位アプライド・マテリアルズ・3位ラムリサーチ)(TechInsights、CINNO) |
| 2026年3月期 売上高・営業利益 | 2兆4435億円(+0.5%、過去最高)・6249億円(−10.4%)(決算短信、共同通信) |
| 今期上期(4〜9月)の会社予想 | 売上高1兆6200億円・営業利益4580億円(7月30日に引き上げ)(決算短信、日本経済新聞) |
| 売上に占める中国の割合 | 30.4%(2026年4〜6月)、2024年4〜6月は約49.9%(会社の決算説明会資料、ヨリビケ計算) |
| 株価(10/28 終値、分割調整後) | 9805円(+415円、+4.42%)。年初来高値は7月1日の1万6252円(株探、トレーダーズ・ウェブ、Yahoo!ファイナンス) |
| 日経平均の中での比重(10/28) | 7.75%で3番目、この日の寄与度+209.85円(日経平均プロフィル、みんかぶ) |
次に見るポイント
- 10月30日(金)16:00:4〜9月期の決算。①会社の予想(売上高1兆6200億円・営業利益4580億円)との差
- ②初めて出る通期(2027年3月期)の予想と、今は「未定」の期末配当
- ③地域別の売上での中国の割合(4〜6月は30.4%)と、会社の前工程の装置の市場の見通し(今は2026年1500億ドル以上・2027年1900億ドル以上)を変えるか
- 11月2日(月):決算を受けた最初の取引
関連する動画
出典
- 東京エレクトロン 2027年3月期 第1四半期 決算説明会資料(2026年7月30日)
- 東京エレクトロン 2026年3月期 決算説明会資料(2026年4月30日、世界シェア)
- 東京エレクトロン 沿革
- Applied Materials「Applied Materials, Inc. and Tokyo Electron Limited Agree to Terminate Business Combination Agreement」(2015年)
- TechInsights「Top IC Manufacturing Equipment Suppliers in 2025」(2026年7月17日)
- SEMI「Global Semiconductor Equipment Sales Forecast to Reach a Record $229 Billion in 2028」(2026年7月14日)
- 日本経済新聞社 日経平均プロフィル(日次サマリー、10月28日)
※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。









