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武田、純利益予想を26%上げ 上げ幅の多くは円安と税金の見直し

武田薬品工業(4502)は29日(木)15時30分、東証の取引が終わった後に上期(4〜9月)の決算を発表し、今期(2027年3月期)の純利益の予想を1660億円から2090億円へ25.9%引き上げた。会社は売上の上積みを主に為替(円安)の効果と説明しており、為替の影響を除くと上期の売上は1.0%減っている。東証の終値は2.60%高の6471円で、夜間のPTSでは終値を下回る値段もついている。

桐生レオン ・ 特集 22:50 ・ 2026年10月29日
動画:日本経済新聞「【『ナルコレプシー』治療薬発売】武田薬品、苦節15年で」 YouTube で見る

決算短信によると、上期の売上収益は2兆4070億円で前年同期より8.4%増、営業利益は4067億円で60.4%増、純利益は3056億円で2.7倍だった(株探も同じ数字を伝えている)。7〜9月の3か月だけでも純利益は1924億円で、前年同期の赤字から黒字に転じた。今期の予想は、売上収益を4兆6400億円から4兆7000億円に、営業利益を4200億円から4530億円に、純利益を1660億円から2090億円に引き上げた。年間の配当は204円のまま変えていない。

上方修正の理由について、会社は「為替の増収影響」を挙げている。予想の前提にする為替レートは、1ドル156円から158円に円安方向へ見直した(10月〜3月の下期は157円、ユーロは182円で据え置き)。上期の営業利益が大きく増えたのは、ADHD(注意欠如・多動症)の薬VYVANSE(ビバンセ)の無形資産の償却が終わって償却費が484億円減ったことと、前年同期に計上した減損損失がなくなり減損が698億円減ったことが大きい。一方、為替の影響を除いたCore売上収益は1.0%減で、主力の薬は横ばい、新しい薬は伸びたものの、独占販売の期間が終わった薬や古い薬の減収がそれを上回った。

読み解くと、今回の上方修正は「薬がもっと売れる」という見直しではない。純利益の予想の上げ幅430億円のうち、税引前の利益の上げ幅は180億円で、残りは主に繰延税金資産(将来の税金を減らせる分)の見直しで税金の費用が減る分だと決算短信は説明している。本業のもうけを表すCore営業利益の上げ幅は300億円(2.6%)にとどまり、為替を除いた売上の見通し(Core売上収益で一桁台前半の減少)も変えていない。円安が、海外の売上が多い製薬大手の円で見た利益を押し上げる形がはっきり出た決算といえる。

会社が成長の柱と位置づける新薬の動きもある。ナルコレプシー1型(日中に強い眠気が続く病気)の新薬ORZEYFUL(オベポレキストン)は10月15日に日本と中国で発売し、米国では麻薬取締局(DEA)の手続きを経て11月上旬の発売を見込む。乾癬の薬ザソシチニブは米食品医薬品局(FDA)が優先審査で受理した(いずれも会社発表)。決算短信は、営業費用が為替の影響と、ザソシチニブを中心とした新製品の発売に向けた投資の加速で増えるとしている。

株価は、東証の終値が6471円(前日比164円高、2.60%高)で、決算の発表は取引が終わった15時30分だった。Yahoo!ファイナンスの夜間PTSでは17時01分に6550円で始まった後、22時44分には6300円(終値比2.6%安)、株探が示すPTSは22時25分に6380円だった。PTSは東証より取引が少なく、30日(金)の東証の値段が同じになるとは限らない。会社は12月11日(金)に東京で投資家向けの説明会(キャピタル・マーケッツ・デー)を開く予定だ。

数字で見る

株価(10/29)東証終値 6471円(+164円、+2.60%、15:30)→ 決算発表 15:30 → 夜間PTS 6550円で開始(17:01)、6300円(22:44、終値比 −2.6%)(Yahoo!ファイナンス)、PTS 6380円(22:25、株探)
上期(4〜9月)売上収益 2兆4070億円(+8.4%、為替を除くと −1.0%)、営業利益 4067億円(+60.4%)、純利益 3056億円(2.7倍)(決算短信、株探)
今期予想(修正)売上収益 4兆6400億円→4兆7000億円、営業利益 4200億円→4530億円、純利益 1660億円→2090億円(+25.9%)、Core営業利益 1兆1600億円→1兆1900億円(決算短信、会社発表)
為替の前提1ドル 156円→158円(下期 157円)、1ユーロ 182円(据え置き、下期 180円)(決算短信)。29日22時半ごろのドル円は158円台(株探)
上期の利益を押し上げたもの無形資産の償却費 −484億円(VYVANSEの償却終了)、減損損失 −698億円(決算短信)
配当年間 204円で据え置き(決算短信)
ヨリビケの見方純利益の予想の上げ幅430億円のうち、税引前の利益の上げ幅は180億円で、残りの約250億円は主に税金の費用が減る分という計算になる。また、上期の純利益3056億円は今期の予想2090億円をすでに約966億円上回っており、会社の予想どおりなら下期(10月〜3月)は約966億円の最終赤字、営業利益も下期は約463億円にとどまる計算(いずれも決算短信の数字からヨリビケ計算。株探の下期予想の表も同じ)。

次に見るポイント

  • 10/30(金)9:00 の東証の寄り付き:夜間PTSの値段との差
  • 11月上旬:ナルコレプシー1型の新薬ORZEYFULの米国での発売(DEAの手続き次第、会社発表)
  • 12/11(金)キャピタル・マーケッツ・デー(東京):下期に費用が集まる中身と、新薬の計画の説明(会社発表)
  • ドル円の水準:会社の下期の前提は1ドル157円(決算短信)

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動画:Takeda 公式「Driving Innovation for Narcolepsy Type 1」 YouTube で見る

出典

※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。

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