FRB高官3人が「さらに利上げ」 米長期金利は2日で0.11ポイント低下
米連邦準備制度理事会(FRB)が28日に政策金利を据え置いたばかりの30日(金)、セントルイス連銀のムサレム総裁、ダラス連銀のローガン総裁、リッチモンド連銀のバーキン総裁の3人が、相次いで追加の利上げが必要との考えを示した。一方、同じ日の米国債は買われ、米財務省の公表値で10年債の利回りは4.94%と、28日の5.05%から2日で0.11ポイント下がった。
ロイターによると、ムサレム氏は講演の原稿で「追加の金融引き締めが必要になる。それも近いうちに」と述べ、早めに小刻みに動くほうが、後から大きく急に動くより経済への混乱が小さいとの考えを示した。ムサレム氏は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持たない。今年の投票権を持つローガン氏は、いったん止まって見直す前に、少なくとも0.25ポイントの利上げがあと2回必要だとし、今の誘導目標は「適度に引き締める水準より少なくとも0.5ポイント低い」との見方を示した(ヤフー・ファイナンス、ロイター)。バーキン氏は、金利を上げる方向ははっきりしており、問題はペースだとして、段階的な進め方を支持した(同)。
背景には物価の高止まりがある。FRBは9月に利上げし、28日の会合では誘導目標を3.75〜4.00%に据え置いた。投票は10対2で、クリーブランド連銀のハマック総裁とクック理事が0.25ポイントの利上げを主張して反対した(CNN、ロイター)。29日に米商務省経済分析局が出した9月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年比3.6%上昇(8月は3.4%)、食品とエネルギーを除くコア指数は3.1%上昇(同3.0%)で、FRBが目標とする2%を上回ったままだ。ローガン氏は、2%を超える状態が長く続いていることを「受け入れられない」と述べた(ロイター)。
米国の金利の見通しは、日本の投資家にとっては円相場を通じて効いてくる。30日のドル円は1ドル=157円台(ヤフー・ファイナンス、みんかぶ)。日銀は同じ30日に金利を据え置いており、FRBの利上げ観測が強まるか弱まるかは、日米の金利差を通じて円安・円高のどちらの方向にも働きうる関係だ。一般に円安は輸出の多い企業の円での利益を押し上げ、輸入の多い食品や電力ではコストの重荷になりやすい。また、利益の大きな部分を将来に見込むハイテク株は、金利の水準の変化で株価の評価が揺れやすいとされる。
読み解きのポイントは、高官の発言と債券市場の動きが逆を向いたことだ。米財務省の公表値で、10年債の利回りは28日5.05%→29日4.98%→30日4.94%、2年債は4.67%→4.61%→4.56%と、2日続けて下がった。同じ2日間、アルファベットやインテルの決算をきっかけにナスダック総合指数は大きく下げ、30日は2.86%安の2万5437.00で引けた(みんかぶ)。株が売られ、債券が買われた形になる。ムサレム氏自身も「金融環境は最近引き締まった」と述べている(ロイター)。ロイターによると、先物市場では12月の利上げを見込む向きがやや後退したものの、据え置きより利上げの見方のほうが多い。CME FedWatch の12月利上げの確率は、10月29〜30日の各報道で8割前後と伝えられている。
この先は、11月3日(火)の米中間選挙、11月6日(金)の10月の米雇用統計、11月25日(水)の10月のPCE物価指数(米商務省経済分析局の予定)を経て、12月8〜9日(火〜水)のFOMCを迎える(ロイター)。ウォーシュ議長は、今後の金利の道筋を前もって示さない考えを示している。
数字で見る
| 米政策金利(誘導目標) | 3.75〜4.00%(10/28据え置き、10対2。反対の2人は利上げを主張)(CNN、ロイター) |
|---|---|
| 米10年債利回り | 4.94%(10/30)、4.98%(10/29)、5.05%(10/28)(米財務省) |
| 米2年債利回り | 4.56%(10/30)、4.61%(10/29)、4.67%(10/28)(米財務省) |
| 9月のPCE物価指数 | 前年比+3.6%(8月+3.4%)、コア+3.1%(同+3.0%)(10/29発表、米商務省経済分析局) |
| 12月利上げの確率 | 8割前後(CME FedWatch、10/29〜30の各報道。時点で幅あり) |
| ドル円 | 157円台(10/30 NY、ヤフー・ファイナンス、みんかぶ) |
| ナスダック総合指数 | 2万5437.00(10/30終値、−2.86%)(みんかぶ、ヤフー・ファイナンス) |
次に見るポイント
- 11月3日(火):米中間選挙(日本は文化の日で休場)
- 11月6日(金):10月の米雇用統計
- 11月25日(水):10月のPCE物価指数(米商務省経済分析局の予定)
- 12月8〜9日(火〜水):次のFOMC。据え置きか利上げか、反対票の数
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出典
- 米財務省「Daily Treasury Par Yield Curve Rates」(2026年10月28〜30日)
- 米商務省経済分析局「Personal Income and Outlays, September 2026」(2026年10月29日)
- ロイター(Investing.com掲載)「Fed's Musalem says a rate hike is needed 'soon'」(2026年10月30日)
- ヤフー・ファイナンス「Rates need to be higher, 3 Fed members say. The question is how much.」(2026年10月30日)
- CNN「Fed keeps interest rates unchanged, but two officials dissented in favor of a rate hike」(2026年10月28日)
- みんかぶ「NY時間に伝わった発言・ニュース」(2026年10月31日05:10)
- みんかぶ「ダウ平均、ナスダックとも大幅安 アマゾンとインテルの決算に失望=米国株概況」(2026年10月31日05:35)
御堂聡一 ・ 特集 07:52 ・ 2026年10月31日※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。









