デジタルアーツ、不正アクセスの痕跡で7%安 他のセキュリティ株は高い
セキュリティソフトのデジタルアーツ(2326)は22日、前日比7%安で取引されている。21日の取引終了後、自社のクラウドサービスの運用環境と社内環境に不正アクセスの痕跡があったと発表した。痕跡は2025年7月ごろまでさかのぼり、6つのクラウドサービスで一部の顧客の情報が見られた可能性がある。
白石ひかり ・ 特集 09:58 ・ 2026年10月22日
会社の適時開示によると、デジタルアーツは10月9日、AIを使ってシステム・製品・社内環境を総点検したところ、これまでの点検では見つからなかった不正アクセスの痕跡を見つけた。クラウドサービスの運用に使う認証情報(ログインのための情報)が第三者に盗まれ、それを使って運用環境に入られていた。対象はウェブの閲覧を制限する「i-FILTER@Cloud」やメールの「m-FILTER@Cloud」、ファイル暗号化の「FINAL CODE@Cloud」など6サービスで、利用者全員にパスワードの変更を求めている。21日正午時点で情報の持ち出しや悪用は確認されていない。顧客が自社に入れて使うソフト版は対象外。
株価への影響は、守る側の会社が侵入されたという点にある。同社は学校・自治体・企業向けのフィルタリングで知られ、「情報セキュリティ製品を提供する企業として本件を重く受け止め」ると開示に書いた。株探と Yahoo Finance によると、22日は寄り付きから売りが先行し、9時半ごろは5860円(前日比450円安、7.13%安)。Yahoo Finance の値では一時5550円(約12%安)まで下げた。時事通信も21日夜にこの件を報じている。業績への影響は「精査中」とし、数字は示していない。
対照的に、ほかのセキュリティ関連株は大きく上げている。株探によると、22日朝はサイバーセキュリティクラウド、トレンドマイクロ、FFRIセキュリティが買い気配で始まり、9時半ごろにはサイバーセキュリティクラウドが18.80%高、FFRIが9.99%高、トレンドマイクロが7.19%高だった。株探は21日・22日のストップ高銘柄の材料に「情報セキュリティ関連」を挙げている。21日夜には、ウェブサイトに広く使われるPHPの重大な弱点について首相が異例の呼びかけをしており、セキュリティへの関心が高まっている中での発表になった。
波及として見ておきたいのは、クラウドサービスを使う側だ。同社の製品は学校や自治体、企業で広く使われており、利用者はパスワードの変更などの対応を迫られる。会社は「追加の対応が必要な一部のお客様には個別に連絡する」としており、どの情報が見られた可能性があるのか、件数はどれほどかは、まだ示されていない。
この先は、調査の続報と業績への影響の開示が焦点になる。同社の決算発表は10月30日の予定(株探)で、調査の費用や顧客の解約の有無について説明があるかが手がかりになる。
数字で見る
| 発見した日 | 2026年10月9日(AIを使った総点検で)(会社開示) |
|---|---|
| 痕跡の時期 | 2025年7月ごろから(会社開示・時事通信) |
| 対象のクラウドサービス | i-FILTER@Cloud、m-FILTER@Cloud など6サービス(会社開示) |
| 情報の持ち出し | 10/21 正午時点で確認されず(会社開示) |
| 株価 10/22 9時半ごろ | 5860円(前日比−450円、−7.13%)(株探・Yahoo Finance) |
| 時価総額(10/21 終値ベース) | 約828億円(株探) |
| ほかのセキュリティ株 10/22 9時半ごろ | サイバーセキュリティクラウド+18.80%、FFRI+9.99%、トレンドマイクロ+7.19%(株探・Yahoo Finance) |
次に見るポイント
- 調査の続報:見られた可能性のある情報の種類と件数
- 業績への影響の開示(会社は「精査中」)
- 10月30日(金)予定:デジタルアーツの決算発表。調査費用や顧客の動きの説明
- セキュリティ関連株の上げが22日の後場まで続くか
出典
※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。



