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速報 | 米国株

アンソロピック、上期の売上163億ドル 上場書類の草案で赤字807億ドル

11月の上場を準備するAI開発の米アンソロピックについて、目論見書の草案の中身をWSJとロイターが米国時間20日に報じた。2026年1〜6月の売上高は約163億ドルで、前年同期の約15倍。純損失は807億ドルだが、うち約720億ドルは転換社債の評価にかかわる会計上の費用だ。

御堂聡一 ・ 特集 18:47 ・ 2026年10月21日
動画:Bloomberg Television:WSJが報じたアンソロピックの草案と赤字の中身(英語) YouTube で見る

WSJが確認した草案によると、アンソロピックの2026年上半期(1〜6月)の売上高は約163億ドルで、前年同期の11億ドルから大きく増えた。純損失は807億ドル(時事通信の換算で約12兆8000億円)で、前年同期の130億ドルから膨らんだ。ロイターも草案を入手し、損失の額と内訳を同じように伝えている。草案は公開されておらず、アンソロピックはロイターの取材に答えていない。

赤字の大半は、現金が出ていった損失ではない。両社の報道では、約720億ドルは資金を集めるために出した転換社債など(将来アンソロピックの株に替えられる社債)の公正価値が上がったことによる会計上の費用だ。会社の価値の見積もりが上がるほど、この社債の価値も上がり、帳簿の上では損失が増える仕組みになっている。一方で、計算能力(AIを動かすデータセンターや半導体)への支出は上半期だけで約90億ドルと、2025年の1年分(73億ドル)を上回った。

数字が直接かかわるのはクラウドの大手だ。WSJによると、草案にはクラウドの利用契約として今後7〜10年で約4500億ドルを払う約束が書かれ、うちグーグル・クラウドが1110億ドル、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が1100億ドル、マイクロソフトが310億ドル。大半は使った量にかかわらず払う、途中でやめられない契約だという。アンソロピックの支出は、そのままこれらの会社の受注になる。マイナビニュースが伝えたWSJの報道では、ブロードコムを通じて借りるグーグルの半導体に1600億ドル超、英Nscaleや米Lambdaからエヌビディアの半導体を借りる契約に最大860億ドルもあり、半導体の設計会社やAI向けのクラウドの新興企業にも波及が及ぶ。

リスクとして草案が挙げるのは、売上が一部の顧客に集まっていることだ。上半期の売上の約2割は2社の顧客からで、社名は明らかにされていない。ほかに、払う約束の重さ、AIのモデルが損害を起こしたときの賠償、データセンター建設への反対運動なども並ぶ。今後の計算能力への支出は、交渉中のものを含めて最大7500億ドルにのぼる可能性があるという。

この先の焦点は上場の条件だ。ロイターは11月の上場を予定と伝え、企業価値は約2兆ドルとの見方がある一方、先週には一部の投資家が約1.5兆ドルへの引き下げを検討していると報じていた。米SECのルールでは、非公開で草案を出した会社は、投資家への説明会(ロードショー)の少なくとも15日前までに書類を公開する必要がある。正式な目論見書が出れば、売上の伸びと、7〜10年で4500億ドルという支払いの重さを、投資家が同じ紙の上で比べることになる。21日(米国時間)にはメタの決算もあり、AIへの設備投資の計画とあわせて見られそうだ。

数字で見る

上半期(1〜6月)の売上高約163億ドル(前年同期 11億ドル)(WSJ、マイナビニュース)
上半期の純損失807億ドル(前年同期 130億ドル)、約12兆8000億円(WSJ・ロイター、円換算は時事)
うち会計上の費用約720億ドル(転換社債などの公正価値の上昇)(WSJ・ロイター)
上半期の計算能力への支出約90億ドル(WSJ・ロイター)。前年同期 23億ドル(ロイター)、2025年通年 73億ドル(WSJ)
クラウドの支払いの約束今後7〜10年で約4500億ドル(グーグル1110億・AWS 1100億・マイクロソフト310億ドル)(WSJ、時事)
2社の顧客の割合上半期の売上の約2割(WSJ、時事)
7〜9月期の売上高168億ドル(前期比+45%、ロイター。上場準備の説明会に出た投資家の話)
ヨリビケの見方売上と計算能力の支出を比べると、上半期は売上163億ドルに対して支出が約90億ドルで、売上は支出の約1.8倍だった。ロイターが投資家の話として伝えた7〜9月期の売上168億ドル(前期比45%増)から逆算すると、4〜6月期は約116億ドル、1〜3月期は約47億ドルになり、7〜9月期の3か月だけで上半期の合計を上回る。一方、4500億ドルの約束を7〜10年でならすと年に約450億〜640億ドルで、7〜9月期の売上を4倍した年換算(約670億ドル)とほぼ同じ大きさだ。純損失807億ドルから会計上の費用720億ドルを引くと、残りは約87億ドルになる(いずれもヨリビケ計算、草案の確定値ではない)。

次に見るポイント

  • 21日(米国時間、日本時間22日朝):メタ・IBM・テスラの決算。メタのAIへの設備投資の計画
  • アンソロピックが登録書類(S-1)を公開する時期:ロードショーの少なくとも15日前まで(SECのルール)
  • 11月:アンソロピックの上場予定(ロイター)。企業価値が約2兆ドルか、約1.5兆ドルか
  • グーグル(アルファベット)・アマゾン・マイクロソフトの次の決算:クラウドの受注残にアンソロピックの契約がどう表れるか(日付は各社の発表を確認)

関連する動画

動画:CNBC-TV18:草案の数字(赤字807億ドルのうち720億ドルは会計上)を解説(英語) YouTube で見る

出典

※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。