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特集 | 米国株

テスラとスペースX、統合の特別委員会 正式発表前、テスラ側は全株5割の賛成が壁

イーロン・マスク氏は米国時間20日(日本時間21日朝)、スペースXの決算説明会で、テスラとスペースXの取締役会がそれぞれ統合を話し合う特別委員会を設けたと話した。会社の正式な発表や合併の契約ではなく、条件も合意していない。2社の時価総額は合わせて約3.5兆ドルで、実現すれば規模の大きさに加え、マスク氏が両側を率いる取引として統治のあり方も問われる。

御堂聡一 ・ 特集 12:14 ・ 2026年10月21日
動画:ANNnewsCH「スペースXとテスラ 経営統合検討の特別委を設置 マスク氏『統合はいいアイデア』」 YouTube で見る

発言があったのは、スペースXの7〜9月期の決算説明会だ。決算説明会の書き起こし(Investing.com)や TechCrunch、ITmedia によると、マスク氏は両社の取締役会が株主の求めを受け、統合の考えを話し合う特別委員会をそれぞれ設けたと説明した。委員会は独立した取締役で構成され、マスク氏は自らを「利益相反の当事者」として協議に加わらない。統合には多くの利点があり良い考えだとしつつ、統合が確実だと受け止めるのは言い過ぎで、委員会は条件に合意しておらず、合意できる保証もないと付け加えた。合併の形、株の交換の比率、日程について、両社からの発表や米証券取引委員会(SEC)への届け出は、21日昼(日本時間)までにヨリビケが調べた範囲では見当たらない。

規模は大きい。米国時間20日の終値で、スペースXの時価総額は約2.01兆ドル、テスラは約1.48兆ドル(stockanalysis など)。もともとマスク氏の「もう一つの会社」だった宇宙の会社が、いまは車の会社より大きい。同じ説明会で発表したスペースXの7〜9月期は、売上高が145.8億ドルと前年同期の約2.6倍(161%増)、純利益は44億ドルで、6月の上場後初めての黒字だった。売上の半分を超える75.6億ドルはAIの部門で、前年同期の8.13億ドルから急拡大した。来年1〜3月の売上の見通しは330〜370億ドル。株価は通常の取引で0.11%安の147.79ドルだったが、引け後の時間外では一時約8%上げた(ロイター、CNBC)。主な材料は決算で、統合の話も同じ場で出た。

マスク氏が挙げた統合のねらいは、AIのソフト、チップの設計、両社で進める半導体工場「テラファブ」、ロボット、スターリンクの通信、宇宙にAIのデータセンターを置く構想などをまとめて進めることだ。両社はすでにつながっている。テスラはxAIへの約20億ドルの出資が、スペースXによるxAIの買収でスペースX株に変わり、Electrekによると約1899万株(1%未満)を持つ。ハードルは、テスラ側の株主の承認だ。マスク氏によると、テスラでは投票した株の過半数ではなく、全株式の50%の賛成が必要で、本人も「かなり高いハードル」と認めた。棄権は反対と同じ働きをする。Electrekによると、テスラが2025年に出した取締役の任期をそろえる案などは、賛成が発行済み株式の39.4%にとどまり、通らなかった。一方、スペースXではマスク氏が議決権の8割超を握る(ロイター、SECの書類から)ため、承認の構図は両社でまったく違う。

前例もある。テスラは2016年、マスク氏が会長で大株主だった太陽光パネルの会社ソーラーシティを、全額株式で約20億ドル台で買った。株主は「救済のための買収だ」と訴え、約130億ドルの賠償を求めたが、デラウェア州の裁判所は2022年にマスク氏の勝訴とし、2023年6月に州の最高裁も支持した。ただ一審は、マスク氏が交渉から完全には身を引かなかった点を批判している。今回、委員会を独立取締役だけにしてマスク氏が外れた形は、この時の論点を意識したものとも読める。一方で TechCrunch やテスラの委任状によると、テスラの独立取締役のアイラ・エーレンプライス氏は2026年2月からスペースXの取締役も兼ねており、委員会の独立性は今後の論点になりうる。

日本では、21日の東京市場でスペースXの好決算を受けた動きが出た。フィスコによると、子会社のファンドを通じてスペースXに出資するアステリアが午前に大幅反発し、みんかぶによると宇宙関連株にも買いが広がった。統合の話そのものが理由とした報道は見当たらない。この先は、まず日本時間22日6時30分からのテスラの7〜9月期の決算説明会で、会社側が委員会について何を話すか。テスラの年次株主総会は12月3日(米国中部時間15時)だが、委任状に統合の議案はない。合併の契約が結ばれれば、24/7 Wall St.の整理では、8-K(臨時の報告)、委任状(S-4)、両社の株主投票の順に進む。交換の比率についてはアナリストの試算が出ているが、会社の案ではない。

数字で見る

発言の場10/20(米国時間)、日本時間21日朝のスペースX 7〜9月期決算説明会
今の段階両社の取締役会がそれぞれ特別委員会を設置(マスク氏の説明)。条件は未合意、会社の正式発表・SECへの届け出は未確認(21日昼、日本時間)
10/20 終値(米国時間)スペースX 147.79ドル(−0.11%)/テスラ 373.71ドル(+1.54%)
時価総額(10/20 終値)スペースX 約2.01兆ドル/テスラ 約1.48兆ドル(stockanalysis など)
スペースX 7〜9月期売上高 145.8億ドル(+161%)、純利益 44億ドル(上場後初の黒字)
テスラ側の承認全株式の50%の賛成が必要(マスク氏の説明)。2025年の取締役任期の議案などは賛成39.4%で不成立(Electrek)
前例(ソーラーシティ)2016年に買収、約130億ドルの賠償請求 → 2023年6月 デラウェア州最高裁がマスク氏の勝訴を支持
ヨリビケの見方ヨリビケの計算では、20日の終値ベースでスペースXの時価総額はテスラの約1.36倍(2.01兆÷1.48兆ドル)、2社の合計は約3.49兆ドルになる。売上で比べると逆で、テスラの前年同期(2025年7〜9月期)の売上281億ドルは、スペースXの今回の145.8億ドルの約1.9倍。売上はテスラが大きく、時価総額はスペースXが大きい。テスラ側の承認ラインの50%は、2025年に通らなかった議案の賛成率39.4%より10.6ポイント高い。

次に見るポイント

  • 10/22(木)6:30(日本時間)テスラの7〜9月期決算説明会:委員会や統合について会社側が何を話すか(売上の市場予想 約278〜281億ドル)
  • 両社の SEC への届け出:合併の契約が結ばれれば、8-K → 委任状(S-4)→ 両社の株主投票の順(24/7 Wall St.の整理)
  • 12/3(米国中部時間15時、日本時間4日6時)テスラの年次株主総会:統合の議案はなし。マスク氏・デンホルム会長・ストローベル氏の取締役再任など
  • 来年5〜6月ごろ(マスク氏の説明):両社の半導体工場「テラファブ」の最初の試作チップ

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動画:WSJ News「Musk Says SpaceX and Tesla Formed Committees to Discuss Potential Merger」(英語) YouTube で見る

出典

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