ヨリビケについて 1分動画 YouTube @yoribike 10/26 更新
ヨリビケ- MARKET NEWS -
速報 | 企業・決算

イクヨ、ムラキにTOBを予告 1株3000円は前週末の2倍、会社の賛同なし

自動車部品のイクヨ(7273)が26日の取引時間中、カーケア用品卸のムラキ(7477、東証スタンダード)の株を1株3,000円のTOB(株式公開買付け)で買い増し、過半数を握る計画を発表した。価格は23日の終値1,458円の約2.06倍。ただしムラキの取締役会は賛同しておらず、ムラキの買収防衛策との関係で、開始は早くても2027年4月下旬が目途になる。

日向かなえ ・ 特集 14:55 ・ 2026年10月26日
動画:「同意なき買収」が増えるなかで問われる株主の選択(テレ東BIZ、日経モープラFT。今回の件とは別の解説) YouTube で見る

イクヨが26日13時45分に開示した。買い付けるのは最大48万6,300株で、成立すればイクヨの持ち分は17.01%から議決権ベースで50.13%に上がり、ムラキを連結子会社にする。上限はあるが下限は設けず、買付代金は最大約14億5,890万円。価格3,000円は23日の終値に105.76%、過去6か月の平均1,722円に74.22%を上乗せした水準だ。イクヨは、ムラキの賛同を得ていないためムラキの内部の資料は調べておらず、価格は市場の株価と過去の事例のプレミアムから決めたと説明している。株探によると、ムラキ株は開示の直後に1,700円(前週末比16.6%高)をつけ、その後売買停止となった。

両社の対立は年初から続いている。株探(みんかぶ)によると、イクヨは1月に相対取引でムラキ株25万株を6億円で取得して筆頭株主になり、当時は「経営への関与が目的ではない」としていた。ムラキの開示では、イクヨは4月3日の面談で、ムラキの取締役の過半数をイクヨ側の人で構成する案を検討するよう求めた。ムラキは9月24日、独立委員会の勧告を受けて、イクヨとBlue Goats Capitalが買収対応方針の「共同協調行為」(2社が協力して株を買い集める行為)にあたると認定した。2社の持ち分は3月末に合計21.77%、その後最大24.02%になったという。イクヨは10月5日に「事実に反する」として認定の撤回を求めている。

ムラキ側も動いている。9月15日にホテル・不動産のストライダーズ(9816)と資本業務提携を結び、その子会社の倉敷ロイヤルアートホテルが元の主要株主から12.25%を買い取った。9月24日には臨時株主総会を開くための基準日を10月13日に設定したが、日時や議案はまだ出ていない。イクヨが今の時点で発表した理由として挙げたのはこの総会で、新株を有利な条件で発行するなど支配権に関わる議案が出る場合、株主にTOBの計画を知ったうえで投票してほしいとしている。

TOBをすぐ始めないのは、今始めるとムラキの対応方針に反し、新株予約権の無償割当てなどの対抗措置を受けるおそれがあるためだ。開始の条件は、ムラキが方針を廃止するか対抗措置を使わないと決議すること、ムラキの賛同、独占禁止法の手続きなどで、このうち方針と賛同の条件はイクヨが自分の判断で外せる。独禁法については、イクヨの国内売上高は今は約169億円で届出の基準200億円を下回るが、10月末までにAIストーム社の子会社2社を、11月下旬にEVモーターズ・ジャパンの事業を取得する予定で、基準を超える可能性があるとしている。イクヨの株価は26日14時30分時点で前週末比6.1%安の496円。

この先の焦点は、ムラキの取締役会と独立委員会がどう答えるかと、臨時株主総会の中身だ。イクヨは、条件が整えば5営業日以内に始め、2027年4月下旬を目途としているが、2027年5月31日までに条件が整わなければ提案を取り下げる。始まるまでに価格を見直すこともありうるとしている。ムラキは全国のガソリンスタンド(サービスステーション)にカーケア用品や補修部品、設備機器を売る会社で、イクヨはガソリン需要の減少と電動化が進むなか、この販売網に自社の部品やEVの開発力を組み合わせたいとしている。

数字で見る

TOB価格(10/26 13:45 発表)1株3,000円(10/23 終値1,458円の約2.06倍、+105.76%)
買付予定数上限48万6,300株・下限なし(最大約14.6億円)
イクヨの持ち分17.01%(25万株)→ 成立で議決権ベース最大50.13%
ムラキの株価(10/26)13:45 1,700円(+16.6%)、その後売買停止(株探)
イクヨの株価(10/26 14:30)496円(前週末比 −6.1%)、時価総額 約146億円(株探)
ムラキの動き9/15 ストライダーズと資本業務提携(12.25%)、9/24「共同協調行為」を認定
開始の目途・期限2027年4月下旬が目途、5/31までに条件が整わなければ取り下げ
ヨリビケの見方ヨリビケの計算では、TOB価格3,000円は、イクヨが1月に買った値段(6億円÷25万株=1株約2,400円)より25%高い。ムラキの前期末の単体の純資産(開示の「純資産の10%=2億6,769万円」から逆算して約26.8億円)を1株あたりにすると約1,821円で、3,000円はその約1.65倍、23日の終値1,458円は約0.80倍だった。また上限の48万6,300株は、イクヨ以外の株主が持つ121万9,700株の約4割にあたり、上限を超える応募があれば按分になるため、応募した株がすべて3,000円で買い取られるとは限らない。

次に見るポイント

  • 10/29(木):ムラキの中間決算の発表予定(株探)。提案への見解や臨時株主総会の議案が出るか
  • 臨時株主総会:日時・議案は未公表(基準日は10/13)。新株の発行など支配権に関わる議案が含まれるか
  • 10月末〜11月下旬:イクヨの子会社取得・事業譲受の実行。独禁法の事前届出が要るかを各取得から2か月以内に確認
  • 2027年4月下旬:イクヨが示すTOB開始の目途。5/31までに条件が整わなければ提案を取り下げ

出典

※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。

次に読む