カカクコム買収、LINEヤフー陣営が3700円に上げ EQTの3682円を上回る
LINEヤフーと米投資ファンドのベインキャピタルは10月26日(月)の取引終了後、「食べログ」「価格.com」を運営するカカクコム(2371)に予定しているTOB(株式公開買い付け)の価格を、3597円から3700円に引き上げると発表した。すでにTOBを続けている欧州系ファンドEQTの3682円を18円上回る。一方で、この日のカカクコムの終値は3760円と、2つの価格のどちらよりも高かった。
白石ひかり ・ 特集 16:43 ・ 2026年10月26日LINEヤフーの開示によると、今回上げたのは、カカクコムの大株主であるKDDIと「TOBに応募しない」契約を結べなかった場合の価格だ。契約を結べた場合の3720円は据え置いた。KDDIの持ち株は3501万6000株で、所有割合は17.55%(LINEヤフー陣営の開示)。必要な各国の独占禁止法などの手続きはすべて終わっており、TOBの開始は11月中旬を想定する。日本経済新聞も同日、引き上げ後の3700円がEQTの3682円を上回ること、開始時期を11月中旬と見込むことを報じている。
争奪戦の始まりは5月だ。EQTの買収会社Kamgras 1が5月13日(水)に1株3000円でTOBを始め、カカクコムの取締役会は賛同した。その後LINEヤフー陣営が対抗の提案を出し、カカクコムは7月2日(木)以降、EQTのTOBに賛同はするものの、応募するかどうかは株主の判断に委ねるという立場をとっている(カカクコムの開示)。価格の引き上げは続き、EQTは8月13日に3570円、9月10日に3680円とした後、9月29日(火)に3681円、10月14日(水)に3682円と、1円ずつの引き上げで期間を延ばしてきた。日経によると、期間の延長は10月14日で9度目。EQTのTOB期間は10月28日(水)までで、合わせて115営業日になる。
両陣営は、契約の読み方でも対立している。EQT側の10月14日の届け出によると、KDDIがEQTと結んだ「応募しない」契約では、KDDIがLINEヤフー陣営に応じるには、陣営の価格がEQTの価格を2%以上上回る必要があり、その水準は3756円だとしている。そのうえでEQT側は、条件付きの3720円は実現の見込みがないと批判してきた。これに対しLINEヤフー陣営は今回の発表で、EQTとカカクコムが結んだ契約には、対抗する側が価格を上げた場合にカカクコムがEQTに価格の見直しを申し入れられる定めがあり、申し入れから10営業日以内にEQTが3700円以上に上げなければ、カカクコムはEQTのTOBへの賛同の義務から外れるとの見方を示した。KDDIは9月28日(月)にカカクコムとの資本提携を解消しており、日経によると、KDDIは株の売却をすでに決めたと説明している。
株価の上では、市場はすでに両方のTOB価格より上で取引している。26日のカカクコムは前週末と同じ3760円で引け、出来高は18万6100株と落ち着いた動きだった。買い手側のLINEヤフーは0.17%高の518.7円。EQTの届け出も、9月29日と10月14日の時点で株価がTOB価格を上回って推移していると記している。日本では投資ファンドによる大型の買収が続いており、日経が伝えたレコフデータの集計では、日本企業が関わる1〜9月のM&Aは3883件と、1〜9月として過去最多だった。
この先の焦点は、カカクコムがEQTに価格の見直しを申し入れるかと、10月28日(水)の期限にEQTが再び価格を上げて期間を延ばすかだ。EQTは、大株主の香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントとも応募について協議を続けているとしている(EQT側の届け出)。カカクコムの決算発表は11月4日(水)、LINEヤフーは11月5日(木)の予定。
数字で見る
| カカクコム(2371)10/26 終値 | 3,760円(前週末比0円)、出来高18万6,100株(株探・Yahoo!ファイナンス) |
|---|---|
| LINEヤフー・ベイン陣営のTOB価格(10/26発表) | 3,700円(従来3,597円)。KDDIと不応募契約を結べた場合は3,720円で据え置き(LINEヤフーの開示・日経) |
| EQT(Kamgras 1)のTOB価格 | 3,682円(10/14に3,681円から1円上げ)(カカクコム・Kamgras 1の開示・日経) |
| EQTのTOB期間 | 5/13〜10/28、合計115営業日(同上) |
| EQTの開始時の価格 | 3,000円(5/13)(日経) |
| KDDIの持ち株 | 3,501万6,000株(所有割合17.55%=LINEヤフー陣営の開示。日経は議決権の17.7%) |
| LINEヤフー陣営のTOB開始 | 11月中旬を想定(LINEヤフーの開示・日経) |
次に見るポイント
- カカクコムが、契約にもとづいてEQTに価格の見直しを申し入れるか(LINEヤフー陣営は、申し入れから10営業日以内が区切りになるとの見方)
- 10月28日(水)のEQTのTOB期限。価格の引き上げ・期間の延長があるか
- 大株主のオアシス・マネジメントとKDDIの対応
- カカクコムの決算(11月4日(水))とLINEヤフーの決算(11月5日(木))
関連する動画
出典
- LINEヤフー「(経過開示)BCPE Blitz Cayman, L.P.による株式会社カカクコムに対する公開買付けの開始予定に係る一部変更に関するお知らせ」(10/26)
- カカクコム・Kamgras 1「公開買付けの買付条件等の変更に関するお知らせ」(10/14)
- カカクコム「Kamgras 1株式会社による当社株券等に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」の一部変更(10/15)
- 日本経済新聞「LINEヤフーとベイン カカクコムの買収提案価格、3700円に上げ」(10/26)
- 日本経済新聞「欧州系ファンドのEQT、カカクコムへのTOB期間を9度目の延長」(10/14)
- 日本経済新聞「KDDI、カカクコムと資本提携解消」(9/28)
- 日本経済新聞「日本企業M&A、1〜9月は過去最多」(10/13)
- 株探「カカクコム(2371)」株価
※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。









