オラクル8.8%安、4年分の調達枠200億ドルを1日で 株と社債で半分ずつ
米オラクルは11月2日(月、米国時間)、株の売り出し100億ドルと社債100億ドル、合わせて200億ドルの資金調達を決めた。5日前の10月28日(水)に「2030年度までの追加の調達は200億ドルまで」と約束したばかりで、その枠をいったん1日で使ったことになる。株価は8.8%安の119.22ドルで引けた。
オラクルが米証券取引委員会(SEC)に出した書類によると、社債は2029年から2046年に満期を迎える5本で、合わせて100億ドル。利率は7.000%から8.650%で、同じ期間の米国債の利回りに2.40〜3.35ポイントを上乗せした水準になった。株は100億ドル分を売り出し、ロイターによると8620万株を1株116ドルで売った。10月30日(金)の終値130.67ドルより11.2%安い値段だ。集めたお金の使い道は、設備投資や借金の返済、買収、配当などを含む「一般的な事業目的」とされている。2日の株価は前の営業日より8.76%安い119.22ドルで終わり、出来高は5848万株と、説明会の日(10月28日、8193万株)に次ぐ多さだった(Yahoo Finance)。
背景にあるのは、AI向けデータセンターへの巨額の投資だ。10月28日の投資家向け説明会で、オラクルは2030年度(オラクルの会計年度は5月末締め)に売上2250億ドル以上、2028年度の後半にフリーキャッシュフロー(手元に残る現金)を黒字にし、2029年度は300億ドル以上にする目標を示した。同時に、2027〜2030年度の投資のために市場から追加で集めるお金を200億ドル(株100億ドル、社債100億ドル)までに抑えると約束した。ただし、既存の借金の借り換えはこの枠の外で、2027年度の第1四半期に済ませた200億ドルの株の売り出しとも別枠だ。この約束で株価は説明会の日に10.7%上がったが、5日後に枠の分をまとめて調達したことで、その上げを打ち消した。
市場が気にしたのは、借りる値段の高さと株の価値の薄まりだ。SEC の書類に載った予想の格付けは、ムーディーズが Baa2(見通しネガティブ)、S&P が BBB−、フィッチが BBB。S&P の BBB− は「投資適格」と呼ばれる区分のいちばん下にあたる。ロイターによると、オラクルの借入金などは8月31日時点で1253億4000万ドルあり、2066年に満期を迎える既存の社債(利率6.85%)の値段も2日に下がった。ロイターは、マイクロソフトやアマゾンほどの売上の規模がないことや、オープンAI への依存の大きさを投資家が心配していると伝えている。2日のナスダック総合指数は1.07%安で、AI 投資の重さを心配する売りは半導体にも広がった(ヨリビケの3日朝の記事「ナスダック100、最高値から10%超下げ」)。
意外な関わりは日本の銀行だ。社債の条件書では、引受けの主幹事の1社に SMBC日興の米国法人が名を連ね、みずほ証券と三菱UFJの米国法人も幹事に入っている。AI のデータセンターに向かう大きなお金を、日本の大手金融グループの証券会社も売り手として扱っている形だ。東京市場は3日が文化の日で休みのため、AI 関連株やデータセンター向けの部品・電線などの銘柄がこの動きをどう受け止めるかは、4日(水)の取引で初めて見えることになる。
この先の注目は、社債の払い込みが11月4日(水)に済んだあと、オラクルの社債の値段(利回り)が落ち着くかどうかだ。株価が年初から約39%下げているなか、オラクルは2029年度から成長を自分の稼ぎでまかない、純有利子負債を利払い前の利益の3.5倍未満にすると約束している。次の四半期決算(例年12月)で、売上の伸びと設備投資の額が、説明会で示した道筋どおりに進んでいるかが確かめどころになる。
数字で見る
| 調達額(11/2 月 発表) | 計200億ドル=株100億ドル+社債100億ドル(SEC への届け出) |
|---|---|
| 株の売り出し | 8620万株を1株116ドル。10/30終値130.67ドルより11.2%安=ロイター |
| 社債(5本) | 2029〜2046年満期、利率7.000〜8.650%、米国債への上乗せ+2.40〜+3.35ポイント(SEC の条件書) |
| 予想の格付け | ムーディーズ Baa2(ネガティブ)/S&P BBB−/フィッチ BBB(SEC の条件書) |
| 株価(11/2 終値) | 119.22ドル、−8.76%、出来高5848万株(Yahoo Finance、ロイター) |
| 説明会(10/28 水)から | 当日+10.7%の144.54ドル → 11/2までに−17.5%(Yahoo Finance、ヨリビケ計算) |
| 年初来 | 2025年末194.91ドル → −38.8%(Yahoo Finance、ヨリビケ計算。ロイターは「約39%安」) |
次に見るポイント
- 11月4日(水):オラクルの社債の払い込み。その後の社債の値段(利回り)
- 11月4日(水):休み明けの東京市場。AI・データセンター関連株の反応
- 11月4日(水)朝から:米中間選挙の開票。ハイテク株全体の地合い
- 例年12月:オラクルの次の四半期決算。売上の伸びと設備投資の額が説明会の道筋どおりか
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出典
- Oracle「Pricing Term Sheet(社債 100億ドルの条件書、FWP)」(SEC、11月2日)
- Oracle「Preliminary Prospectus Supplement(株 100億ドルの売り出し、424B5)」(SEC、11月2日)
- Oracle「Oracle Investor Day 2026: Accelerating Value Creation」(8-K 添付の発表文、10月28日)
- Reuters(Investing.com 掲載)「Oracle plans to raise $20 billion through bonds and stock sales」(11月2日)
- Yahoo Finance「Oracle (ORCL) 株価の推移」
神崎玲子 ・ 特集 15:47 ・ 2026年11月3日※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。









