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キヤノン、通期予想を下げる AI需要で基板が不足、医療機器の生産が来年に

キヤノン(7751)が27日(火)15時30分に1〜9月期の決算を発表し、2026年12月期の通期予想を引き下げた。営業利益は4650億円から4560億円へ。AI向けの需要でプリント基板と電子部品が足りなくなり、医療機器の生産の正常化が今年9月の予定から来年以降にずれ込む。

桐生レオン ・ 特集 18:50 ・ 2026年10月27日
動画:テレ東BIZ ダイジェスト「キヤノン通期業績下方修正 半導体メモリ価格高騰が影響【WBS】」(4月の前回の引き下げ) YouTube で見る

キヤノンが27日(火)に発表した1〜9月期の連結決算(米国基準)は、売上高が3兆4334億円(前年同期比4.0%増)、営業利益が3277億円(8.4%増)、純利益が2464億円(12.2%増)だった。7〜9月の3か月でも売上高1兆1588億円(4.9%増)、営業利益971億円(10.3%増)と増収増益だった(決算短信・決算説明会の説明要旨)。それでも通期の予想は、売上高を4兆8000億円から4兆7660億円に、営業利益を4650億円から4560億円に、純利益を3400億円から3330億円に引き下げた。前の期と比べると、営業利益は0.1%増にとどまる計画になった。

引き下げの理由は医療機器(メディカル)事業だ。会社の説明では、4月に実施した生産システムの更新で運用が混乱し、部材の調達先で火災も起きて、十分な量を作れない状態が続いていた。会社は前回の決算で、9月に生産を正常化して10〜12月に増産する計画を示していた。ところが8月以降、AI関連の需要の拡大でプリント基板と、基板に載せる電子部品の取り合いが深刻になり、予定した数量を調達できない見込みになった。今年の売上への影響額は約450億円から約900億円に倍増し、生産の正常化は「来年第2四半期以降」になる見通しという。1〜9月のメディカルの営業利益は108億円で、前年同期の182億円から40.6%減った。会社は代替の調達先を探しながら、病院の導入計画に合わせた納期の調整や代わりの装置の貸し出しで対応するとしている。

同じAIの波は、ほかの事業では追い風になっている。カメラやネットワークカメラのイメージング事業は、1〜9月の営業利益が1444億円(33.2%増)と、メディカルの約13倍を稼いだ。ネットワークカメラはデータセンターや小売向けが伸び、イメージング事業全体でも7〜9月に16.3%の増収だった。半導体露光装置では、単価の高い「KrF」と呼ばれる装置がメモリー向けを中心に伸び、10〜12月の販売台数は7〜9月の42台から87台に増える予定だ(説明要旨)。一方でキヤノンは、メモリーや原油関連を含む部材の逼迫とコスト高が「当社に限らず」さまざまな産業に広く影響していると説明し、なかでも8月以降の基板と電子部品の逼迫がいちばん大きく響いているのがメディカルだとした。AI向けの需要が部品を集めることで、医療機器という別の業界の生産が部品を確保しにくくなっている構図だ。

株価は27日の終値が4904円(前日比45円安、0.91%安)で、日経平均が1078円高と大きく上げた日に下げた。決算の発表は大引けと同じ15時30分だった。発表後の夜間取引(PTS)では、Yahoo!ファイナンスで18時39分時点に4726円と、東証の終値より178円(3.63%)安い(株探・Yahoo!ファイナンス)。通期の営業利益の予想は、4月にも半導体メモリーの値上がり(約500億円のコスト増)を理由に4790億円から4560億円へ下げており、7月に4650億円へ戻したあと、今回再び4560億円に戻った形だ(第1・第2・第3四半期の決算説明会の説明要旨)。年間配当160円の予想は変えず、決算短信では「配当金額を下げることなく、配当性向40%を目途に」とした。

この先の注目は3つある。1つ目は10〜12月に基板をどれだけ確保できるか。会社は今回の数字を「最低限の目標」として上積みを図るとしている。2つ目は、増産を計画どおり進めるという露光装置の87台が出荷されるか。3つ目は、カメラの中東紛争や中国の市況の影響、露光装置以外の産業機器の納入の後ろ倒しが、会社の言うとおり来年に解消するかどうかだ。監査法人のレビューを受けた決算短信は30日(金)に開示される予定。

数字で見る

1〜9月 売上高3兆4334億円(前年同期比+4.0%、決算短信)
1〜9月 営業利益3277億円(+8.4%)
通期 営業利益の予想4650億円 → 4560億円(前期比+0.1%)
メディカルの売上への影響額約450億円 → 約900億円(説明要旨)
メディカルの生産の正常化2026年9月 → 2027年第2四半期以降
1〜9月 事業別の営業利益イメージング1444億円(+33.2%)、メディカル108億円(−40.6%)
27日(火)の終値・PTS4904円(−0.91%)、PTS 4726円(18:39、東証終値比−3.63%、株探・Yahoo!ファイナンス)
ヨリビケの見方通期の営業利益の予想4560億円から1〜9月の3277億円を引くと、10〜12月は約1283億円。前の期の10〜12月(通期4554億円−1〜9月3024億円=約1530億円)より約16%少ない計算になる(ヨリビケ計算)。計画どおりならそうなる、という引き算で、ヨリビケの予想ではない。メディカルの影響額900億円は、通期の売上の予想の約1.9%にあたる。

次に見るポイント

  • 28日(水)朝:東京市場の寄り付きで、決算への最初の反応(27日のPTSは東証終値より3.63%安)
  • 30日(金):監査法人のレビューを受けた決算短信の開示予定
  • 10〜12月:プリント基板と電子部品の調達。メディカルの生産が段階的に戻るか
  • 10〜12月:半導体露光装置の販売87台の計画(7〜9月は42台)
  • 次の決算(通期):前の期の通期決算は2026年1月29日に発表。メディカルの正常化の時期が変わるか

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動画:Global Medical Business at Canon Inc.「Canon CT innovations at ECR 2026 - Highlights」(キヤノンのメディカル事業の装置) YouTube で見る

出典

※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。

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