アステラス、純利益予想を3500億円に上げ最高益へ 市場予想にはなお届かず
アステラス製薬は4日(水)の取引が終わった15時30分、今期(2027年3月期)の純利益の予想を3000億円から3500億円に16.7%上げた。膀胱がんの薬「パドセブ」の伸びと円安が理由で、純利益は前期の2915億円を上回り、2期続けて過去最高になる見込み(株探)。ただ、アナリストの予想の平均にはまだ届かない。
4〜9月期の売上収益は1兆2709億円で前年同期より23.4%多く、本業のもうけを示すコア営業利益は4249億円(+50.3%)、純利益は2417億円(+63.7%)だった(会社の決算短信)。通期の予想は、売上収益を2兆2200億円から2兆3300億円に、コア営業利益を6200億円から7000億円に、純利益を3000億円から3500億円に上げた。会社は理由として「PADCEVやミラベグロンなどの好調な進捗や為替の影響」と費用の管理を挙げている。年間配当の予想80円(前期78円)は変えていない。
伸びを引っぱったのは、会社が「重点戦略製品」と呼ぶ新しい薬だ。4〜9月期の売上は合わせて3339億円で51.4%増え、なかでも膀胱がん(尿路上皮がん)の薬パドセブが1583億円(+54.5%)、目の病気(地図状萎縮)の薬IZERVAYが562億円(+64.5%)、胃がんの薬ビロイが459億円(+72.7%)だった。会社は重点戦略製品の通期予想を6800億円に上げた(説明会資料)。円安の効果も大きく、4〜9月の平均レートは1ドル159円で前年同期の146円より13円の円安。前年と同じレートだった場合と比べ、売上は993億円、コア営業利益は412億円多くなった(決算短信)。一方で、開発をやめた前立腺がんの薬の候補ASP5541で264億円の減損(資産の価値の切り下げ)を出している。
株価への効き方を見るうえで大事なのは、発表が大引けの後だったことだ。4日の終値は2500.5円で前の取引日(2日)より68.5円(2.67%)安かったが(株探、Yahoo!ファイナンス)、これは発表の前の値動きで、この日は米中間選挙の結果を受けて日経平均が893円(1.42%)下げた。同じ医薬品株では、武田薬品工業が0.89%安、第一三共が0.59%高、中外製薬が0.76%高だった(株探、15時30分)。発表直後の15時32分には、取引所の外で売り買いするPTS(私設取引)で2450円の値がついている(株探)。本格的な反応は5日(木)の東証の取引で出る。
上方修正でも気になる点は2つある。1つ目は、市場の見方との差だ。みんかぶに集まったアナリストの予想では今期の純利益は3778億円(11/4時点)、株予報Pro(アイフィス)の集計では経常利益が4771億円(11/2時点)で、会社の新しい予想(純利益3500億円・税引前利益4500億円)はどちらも下回る。2つ目は、売上の4割を占める前立腺がんの薬イクスタンジ(XTANDI)だ。4〜9月期は5337億円(+11.9%)と伸びたが、会社は説明会資料で「米国IRAの影響により、下期は売上の減少を見込む」としている。IRA(インフレ抑制法)による米国の公的医療保険メディケアの薬価交渉で、イクスタンジの交渉後の価格は7004ドル(約111万円)と、2024年の定価1万3480ドル(約213万円)より48%低く、2027年1月1日から使われる(米メディケア・メディケイド・サービスセンター=CMSが2025年11月25日に公表、米業界団体AMCPのまとめ。1ドル=158円で計算)。
この先は、4日(水)に開く説明会(ライブ配信)で、下期の見通しと、イクスタンジの減り方をどう説明するかが見どころになる。会社は10〜3月の為替を1ドル156円と、上半期より3円円高に置いている。円安が続けば上振れの余地、円高に振れれば下振れの要因になる関係だ。半期報告書は6日(金)に出し、中間配当40円は12月1日(火)に支払う(決算短信)。上方修正の幅と、アナリストの予想との差が残ったことを、5日(木)の株価がどう受け止めるかが焦点になる。
数字で見る
| 通期の純利益予想(11/4 15:30) | 3000億円 → 3500億円(+16.7%、前期2915億円から+20.1%)(決算短信) |
|---|---|
| 通期の売上収益・コア営業利益予想 | 2兆2200億円 → 2兆3300億円、6200億円 → 7000億円(コア営業利益率30.0%)(決算短信・説明会資料) |
| 4〜9月期の実績 | 売上収益 1兆2709億円(+23.4%)、コア営業利益 4249億円(+50.3%)、純利益 2417億円(+63.7%)(決算短信、株探) |
| 主な薬の売上(4〜9月期) | イクスタンジ 5337億円(+11.9%)、パドセブ 1583億円(+54.5%)、IZERVAY 562億円(+64.5%)、ビロイ 459億円(+72.7%)(決算短信) |
| アナリストの予想 | 純利益 3778億円(みんかぶ、11/4時点)、経常利益 4771億円(株予報Pro、11/2時点) |
| 株価(11/4) | 終値 2500.5円(−68.5円、−2.67%、発表前)、安値 2468.5円(13:36)、PTS 2450円(15:32)(株探、Yahoo!ファイナンス) |
| 為替の前提 | 4〜9月の実績 1ドル159円、10〜3月の想定 1ドル156円・1ユーロ177円(説明会資料) |
次に見るポイント
- 11/4(水):決算説明会(ライブ配信、内容は後日会社のサイトに掲載)。下期のイクスタンジの見通しと、重点戦略製品6800億円の内訳
- 11/5(木)9:00:東証の寄り付き。大引け後の発表への最初の反応(15:32のPTSは2450円)
- 11/6(金):半期報告書の提出(決算短信)
- 円相場:10〜3月の想定は1ドル156円。4日15時36分の158円00銭台(株探の外為サマリー)からのずれ
- 2027/1/1(金):メディケアでのイクスタンジの交渉価格(7004ドル、約111万円)の適用開始
関連する動画
出典
- アステラス製薬:2027年3月期 第2四半期(中間期)決算短信(TDnet、11/4)
- アステラス製薬:2027年3月期 第2四半期(中間期)決算説明会資料(TDnet、11/4)
- アステラス製薬:2027年3月期 第2四半期(中間期)決算補足資料(TDnet、11/4)
- 株探:アステラス、今期最終を17%上方修正・最高益予想を上乗せ(11/4)
- 株探:アステラス製薬(4503)の株価
- Yahoo!ファイナンス:アステラス製薬(4503)
- みんかぶ:アステラス製薬のアナリスト予想
- 株予報Pro:アステラス製薬のアナリスト予想
- AMCP:CMS Releases IPAY 2027 Negotiated Prices(2025年12月)
日向かなえ ・ 特集 15:49 ・ 2026年11月4日※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。









