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富士通、調整後営業益6%減でPTS1割安 サービスは伸び、ハードが重荷

富士通(6702)は29日(木)15時30分、東証の取引が終わった後に4〜9月期の決算を発表した。会社が本業の物差しにしている調整後営業利益は1139億円で前年同期より6.1%減った。決算の後、私設取引システム(PTS)では東証終値(4322円)より1割を超えて安い値段がついている。

神崎玲子 ・ 特集 18:50 ・ 2026年10月29日
動画:日経CNBC「10月29日(木)東京株式市場 日経平均株価は3日続伸、705円高」 YouTube で見る

会社の決算概要によると、4〜9月期の売上収益は1兆6263億円で3.8%増えた。一方、調整後営業利益は1213億円から1139億円へ73億円減り、利益率は7.7%から7.0%に下がった。見出しになりやすい純利益は825億円で68.5%減だが、これは前年に新光電気工業とゼネラル(空調)の事業を売った利益が入っていた反動で、売却益などを除いた調整後の当期利益は878億円で前年と同じだった。調整前の営業利益は1076億円で2.1%増。1年の予想(調整後営業利益4250億円、純利益3100億円)と年間配当55円の予定は変えていない。

部門ごとに見ると、明暗がはっきり分かれた。システム開発や運用を請け負う「サービス」は売上が5.9%増、調整後営業利益が11.8%増の1337億円で、会社の看板の事業ブランド「Uvance(ユーバンス)」の売上は26.5%増の3934億円。国内の受注も上期で9%増えた。これに対しサーバーなどの「ハードウェア」は売上が5.7%増えたのに、調整後営業利益は125億円から45億円へ64%減った。会社は理由を「部材コストの上昇」と説明している。パソコンなどの「ユビキタス」は、前年にあったWindows 10の更新需要がなくなり、利益が38%減った。

もう一つの重荷は、会社全体でかかる研究開発の費用だ。「消去・全社」の赤字は325億円から377億円に広がった。会社は、次世代のCPU(演算装置)「MONAKA(モナカ)」、ロボットなどを動かすフィジカルAI、量子コンピューターへの開発投資が増えたためとしている。MONAKAは11月にサーバーの販売を始め、CPUの売上を2027〜30年度の合計で2500億円にする目標を資料に示した。また、上期のキャッシュ・フロー(コア・フリー・キャッシュ・フロー)の説明では、下期の需要に備えてメモリやCPUを「戦略在庫」として積み増したとしている。

株価の動きを時刻で追うと、東証の終値は4322円。発表後のPTSでは、株探の集計でデイタイムの取引が終わった16時30分に3874円(終値比10.4%安)、Yahoo!ファイナンスでは18時40分すぎの夜間PTSで3823.1円(11.5%安)だった。16時30分の時点で、日経平均の採用銘柄の中ではPTSの下落率がいちばん大きい。PTSは東証より取引が少なく、30日(金)の東証の値段が同じになるとは限らない。また、市場予想(コンセンサス)と比べてどうだったかや、売られた理由を伝える報道は、ヨリビケでは確かめられていない。

読み解くと、利益の柱のサービスは伸びている一方、ハードの部材高と、将来に向けた開発投資が全体の利益を押し下げた形だ。AI向けの需要でメモリなどの部品が値上がりすると、半導体メーカー(28日のSKハイニックス、キオクシア)には追い風になるが、部品を買ってサーバーやパソコンを作る側には費用の増加になる。富士通の数字には、その裏側が出ている。この先は、1年の予想を変えなかったことで、下期にどれだけ取り戻す計画なのかが注目点になる。

数字で見る

株価(10/29)東証終値 4322円 → PTS 3874円(16:30、終値比 −10.4%、株探)→ 夜間PTS 3823.1円(18:40すぎ、−11.5%、Yahoo!ファイナンス)
4〜9月期(調整後)売上収益 1兆6263億円(+3.8%)、調整後営業利益 1139億円(−6.1%、利益率 7.0%)、調整後当期利益 878億円(±0%)(決算概要)
4〜9月期(調整前)営業利益 1076億円(+2.1%)、純利益 825億円(−68.5%、前年の事業売却益の反動)(決算短信、株探)
部門別の調整後営業利益サービス 1337億円(+11.8%)/ハードウェア 45億円(−64.0%、部材コスト上昇)/ユビキタス 134億円(−38.3%、Win10更新の反動)/消去・全社 −377億円(前年 −325億円、先端技術の開発投資)(決算概要)
伸びている所Uvance 売上 3934億円(+26.5%)、国内サービスの受注 +9%(上期)(決算概要)
1年の予想(据え置き)売上収益 3兆5100億円、調整後営業利益 4250億円(+8.8%)、純利益 3100億円、年間配当 55円(決算短信、株探)
ヨリビケの見方1年の調整後営業利益の予想4250億円のうち、上期で達成したのは26.8%(1139億円)。前の年度は上期で31.1%(1213億円/3905億円)だった。予想を達成するには、下期(10〜3月)に3111億円が必要で、前の年度の下期(2692億円)より15.6%多く稼ぐ計算になる。サービスの部門でも、1年の予想4300億円のうち上期は31%で、残りの69%を下期に見込む形(会社資料のグラフ)。下期に利益が偏る形は例年どおりだが、前の年度(上期33%・下期67%)より偏りが大きい(いずれもヨリビケ計算)。

次に見るポイント

  • 10/30(金)9:00 の東証の寄り付き:PTSの1割安がどこまで東証の値段になるか
  • 10/30(金)の日銀の金融政策決定会合の結果と、同じ日に決算を発表する東京エレクトロン・キオクシアなど
  • 11月:MONAKA のサーバーの販売開始(会社資料)。2027年度のCPU売上の目標は350億円
  • 下期(10〜3月):ハードの部材コストと、積み増したメモリ・CPUの在庫が利益にどう出るか

関連する動画

動画:富士通公式「2026年度第1四半期 決算説明会」(7月) YouTube で見る
動画:テレ東BIZ「富士通 成長投資3兆円 AIや量子技術など【WBS】」(5月ごろの放送) YouTube で見る

出典

※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。

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