スターリンクが携帯会社に? SpaceXが全米の800MHz帯を取得へ 米通信株は数十年ぶりの下げ、鉄塔株は上昇
米スペースXは8日(現地時間)、全米の800MHz帯の免許を買う契約を結んだと発表した。衛星通信「スターリンク」を、携帯電話の会社として育てる道を開くものだ。翌9日、米国の通信大手の株は数十年ぶりの下げ幅を記録した。一方で、携帯の鉄塔を貸す会社の株は上がった。
スペースXによると、売り手は投資会社のグレイン・マネジメントで、取得するのは全米の800MHz帯の免許(最大14MHz幅)。米連邦通信委員会(FCC)の承認を待つ。金額は公表されていないが、ロイターとウォール・ストリート・ジャーナルは約80億ドルと報じた。800MHz帯は建物の中まで届きやすい電波で、今のスマートフォンの多くが対応している。マスク氏は「周波数のパズルの最後の重要なピース」と投稿した。
背景には、この1年あまりの電波の買い集めがある。スペースXは2025年9月にエコースターから約170億ドル分、11月に26億ドル分の周波数を取得した(支払いはスペースX株)。周波数が実際に移るのは2027年11月ごろの見込み。10月6日にはFCCが、スマホと直接つながる新しい衛星1万5000機を承認し、一部の周波数では地上の携帯会社と組まずにサービスを出せる扱いにした。スターリンクの契約者は6月末で1200万人と1年前の2倍で、スペースXは6月にナスダックに上場している。
市場の反応は大きかった。9日の終値でTモバイルUSは13.27%安と2013年以来の下げ幅、AT&Tは9.81%安、ベライゾンは8.75%安だった。Tモバイルの親会社ドイツテレコムも7.94%下げた。これまで携帯会社と組んできたスペースXが、客を取り合うライバルに変わりうると受け止められた。一方で、クラウン・キャッスルやアメリカン・タワーなど鉄塔を貸す会社の株は取引中に上昇した。衛星の電波はビルの中に届きにくく、都市部では地上のアンテナが必要になるためだ。ゴールドマン・サックスは都市部では鉄塔が使われるとみる。
専門家の見方は分かれる。JPモルガンやUBSは大手への短期のリスクは限られるとし、調査会社モフェットナサンソンは10年以内には考えにくいとロイターに語った。シティはリスクは続くと指摘し、エバーコアは「本当のネットワークの輪郭」が見えてきたとする。ベライゾンは「ただの空っぽの電波」と反論している。
日本では、スペースXが自ら携帯会社になるという発表はなく、携帯会社と組む形が続く。KDDIは次の世代の衛星で2027年内に音声通話と高速通信をめざし、ドコモは2028年度中に始める予定。楽天モバイルはライバルの米ASTスペースモバイルと組み、2026年10〜12月に始める予定だ。次世代衛星の打ち上げは大型ロケット「スターシップ」で2027年半ば以降と報じられており、料金や開始日はまだ発表されていない。
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| 発表 | 10月8日(米国時間)、全米の800MHz帯(最大14MHz幅) |
|---|---|
| 金額 | 非公表(ロイター・WSJは約80億ドルと報道) |
| エコースターからの周波数 | 約200億ドル(2025年9月・11月、移転は2027年11月ごろ) |
| FCCの承認 | 10月6日、衛星1万5000機 |
| 10月9日の終値 | Tモバイル −13.27%、AT&T −9.81%、ベライゾン −8.75% |
| スターリンクの契約者 | 1200万人(6月末、前年の2倍) |
| 4〜6月期 通信部門 | 売上高42.9億ドル・営業利益16.6億ドル |
次に見るポイント
- 10月28日のTモバイルの決算(経営陣がスターリンクをどう語るか)
- 10月29日のFCCの会議(衛星向けの電波を増やす案)
- 11月6日のKDDIの決算
- 800MHz帯の取引に対するFCCの承認
- 次世代衛星(V2)の打ち上げ開始(2027年の見込み)
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出典
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