ヨリビケについて 1分動画 YouTube @yoribike 10/19 更新
ヨリビケ
速報 | 企業・決算

ニデック株、10年ぶり安値 永守氏ら9人に賠償責任と調査委 報告書は20日

ニデック(6594)の株価が19日朝、一時1749円まで下げ、10年来の安値を更新した(日経、Yahoo!ファイナンス)。前週末16日の夜、会計不正をめぐる役員責任調査委員会が創業者の永守重信氏を含む歴代5社長など9人に損害賠償責任が認められると結論づけたと会社が開示し、会社は損害賠償請求などの法的措置を検討すると表明した。報告書の本文は20日をめどに開示される。株価は9月24日の高値から4割下がり、月末には東証による上場維持の審査が控える。

日向かなえ ・ 特集 11:58 ・ 2026年10月19日
ニデック株、10年ぶり安値 永守氏ら9人に賠償責任と調査委 報告書は20日
画像:ヨリビケ(AI生成)

ニデックが16日に開示した文書によると、3月13日に設置した役員責任調査委員会(委員長は菊地伸弁護士)は、2020年度から2025年6月末までに在任した取締役・監査役・執行役員を対象に法的責任を調べ、永守重信氏、小部博志氏、佐藤明氏、吉本浩之氏、関潤氏、岸田光哉氏、村上和也氏、落合裕之氏の8人に会社法423条1項に基づく損害賠償責任が、2022年5月から2026年3月まで最高財務責任者(CFO)を務めた元執行役員1人に民法などに基づく損害賠償責任が認められると結論づけた。損害の範囲は各人の寄与度に応じて判断されるべきだとしている。このうち永守氏、小部氏、吉本氏、関氏、岸田氏は歴代の社長5人で、小部氏と吉本氏は創業メンバーでもある(共同、日経)。会社は「複数の取締役等において、その職務執行に関して法令に違反する事実があった」と認め、損害賠償請求などの法的措置を検討して速やかに対応するとした。毎日新聞によると、この方針は同日の取締役会で決めた。報告書は営業秘密と個人情報を伏せる作業のうえ、20日(火)をめどに開示する。株価は16日の終値1800円(19円安)に対し、19日は1760円で始まって9時1分に1749円の安値を付け、11時30分時点は24円(1.33%)安の1776円(Yahoo!ファイナンス)。日経の株価ページは1749円を年初来安値であり10年来安値とし、Media-IR によると9月24日の高値2941円から約4割の水準だ。

会計不正は2025年9月に発覚した。第三者委員会は3月3日の報告で、複数の拠点で減損の回避や棚卸資産の評価損の先送りがあったとし、不正を指示した事実は見つからなかったものの、永守氏を起点とする過度な業績プレッシャーが原因で「最も責めを負うべきなのは永守氏」と結論づけた(日経)。永守氏は2025年末に代表取締役を、2026年2月に名誉会長を退いた(ロイター)。9月30日に発表した2026年3月期の連結決算は、資産を精査し直した結果、約6320億円の減損損失を計上して純損益が5646億円の赤字になり(時事、Bloomberg)、過年度の修正でも2025年3月期までの5年間で2880億円の減損を計上した(日経)。同じ日に提出した有価証券報告書には、監査法人の PwC ジャパンが十分な監査証拠を得られなかったとして「意見不表明」を付け、翌10月1日の株価は一時19.8%安の1888円まで急落した(ロイター)。10月1日に社長に就いた戒田理夫氏は会見で、月内に課題を解決して適正意見の取得を目指し、上場廃止を避けたいと述べた(共同)。

株価にとって最大の論点は上場の維持だ。東京証券取引所は2025年10月にニデックを「特別注意銘柄」に指定しており、指定から1年後に内部管理体制を審査して、適切に整備されていないと判断すれば上場廃止になる(JPX、ロイター)。会社は今月末に改善の状況をまとめた確認書を東証に出し、審査を受ける(毎日)。この不確かさに動いたのが香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントで、10月7日に「意図しない上場廃止に至るリスクを直視する必要がある」として、社外取締役が財務アドバイザーを起用し、国内外の事業会社や投資ファンドから初期的な提案を募る、つまり非公開化の検討を始めるよう取締役会に要請した(時事、Bloomberg)。10月15日に出した変更報告書では保有比率を7.97%から9.00%に引き上げ、今後12か月以内に役員の選任、上場廃止、資本政策の変更などを提案する可能性を記した(ロイター、日経)。セス・フィッシャー最高投資責任者は16日、条件次第で保有比率を大幅に引き上げる可能性にも触れている(ロイター)。意外な波及先は社債市場で、日経は不正問題を受けてニデック債の上乗せ金利(スプレッド)が拡大していると報じている。株式だけでなく、会社の資金調達コストにも影響が出ている。

今回の9人への賠償責任の認定は、会社が元経営陣に損害賠償を請求する根拠になる一方、委員会の見解は裁判所の判断ではなく、請求の額も時期もまだ示されていない(Media-IR)。この先に見るのは、第一に20日の報告書本文で、誰がどの不正にどう関わったとされ、損害額をどう見積もっているか。第二に10月末の確認書の提出と東証の審査で、特別注意銘柄の指定が解けるのか、それとも上場廃止に進むのか。第三に PwC との協議で、意見不表明のままの2026年3月期の有価証券報告書に適正意見が付くのか。第四にオアシスの次の一手で、非公開化の提案を募る動きが実際に始まるかどうかだ。

数字で見る

株価 10/19始値 1760円、9:01 安値 1749円(年初来安値・10年来安値)、11:30 1776円(−24円、−1.33%)。10/16 終値 1800円(Yahoo!ファイナンス、日経)
高値からの下落9/24 高値 2941円 → 1749円で −40.5%(Media-IR、ヨリビケ計算)。10/1 は意見不表明を受けて一時 −19.8% の1888円(ロイター)
賠償責任の認定(10/16)9人。会社法423条1項:永守重信・小部博志・佐藤明・吉本浩之・関潤・岸田光哉・村上和也・落合裕之の8氏、民法等:元CFO(2022年5月〜2026年3月)1人(ニデック開示)
2026年3月期決算(9/30)純損益 5646億円の赤字、減損損失 約6320億円。過年度修正で2025年3月期までの5年間に2880億円の減損(時事、Bloomberg、日経)
監査・上場PwC ジャパンが有価証券報告書に「意見不表明」(9/30)。東証は2025年10月に特別注意銘柄に指定、1年後の審査で不十分なら上場廃止。今月末に確認書を提出(JPX、ロイター、毎日)
オアシス10/7 非公開化の検討を要請、10/15 変更報告書で保有比率 7.97% → 9.00%(約1億736万株)(時事、ロイター、日経)
日程10/20 報告書の開示(めど)、10月末 内部管理体制の確認書を東証に提出(ニデック開示、毎日)
ヨリビケの見方オアシスの9.00%が約1億736万株(日経)なら、発行済み株式は約11億9300万株で、11時30分時点の株価1776円で計算した時価総額は約2.1兆円。9月24日の高値2941円から今日の安値1749円までの下げを同じ株数に当てはめると、1か月足らずで約1.4兆円の時価総額が消えた計算になる(ヨリビケ計算)。

次に見るポイント

  • 10/20 役員責任調査委員会の報告書の開示。損害額の見積もりと、賠償請求の額・時期が示されるか
  • 10月末 内部管理体制の確認書を東証に提出 → 特別注意銘柄の指定から1年の審査(上場維持か上場廃止か)
  • PwC ジャパンとの協議で、2026年3月期の有価証券報告書に適正意見が付くか
  • オアシス(9.00%)が非公開化の提案募集や役員選任の提案に実際に動くか、保有比率をさらに上げるか

出典

※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。