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速報 | 経済指標

9月の貿易赤字5365億円、予想の約3倍 米国からの原油輸入が急増

財務省が21日発表した9月の貿易統計(速報)で、貿易収支は5365億円の赤字となり、市場予想(QUICK集計で約1800億円の赤字)の約3倍に膨らんだ。原油の輸入額が前年より5割増え、とくに米国からの原油の輸入が急増した。日本の対米の貿易黒字は10か月続けて縮んでいる。

白石ひかり ・ 特集 10:50 ・ 2026年10月21日
9月の貿易赤字5365億円、予想の約3倍 米国からの原油輸入が急増
画像:ヨリビケ(AI生成)

財務省の速報によると、9月の輸出は10兆9723億円で前年同月比16.7%増、輸入は11兆5088億円で18.9%増だった。輸入の伸びが輸出を上回り、差し引きの貿易収支は5365億円の赤字と5か月連続の赤字になった。前年9月の赤字(2777億円)と比べると赤字幅は93.2%広がった。市場予想はQUICK集計で1809億円の赤字(ニッセイ基礎研究所、財経新聞)で、実際の赤字はこれを大きく上回った。季節調整をした値でも7040億円の赤字だった。同時に発表された4〜9月(2026年度上半期)の貿易収支は2兆8184億円の赤字で、赤字幅は前年同期から98.8%広がった。輸出(63兆4570億円)と輸入(66兆2754億円)は、どちらも半期として過去最大だった。

輸入を押し上げたのは原粗油(前年同月比51.1%増)、半導体等電子部品(51.4%増)、液化天然ガス(39.2%増)だ。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏の分析によると、原油は数量・価格ともに前年を上回り、通関ベースの原油価格は1バレル100.5ドル(同研究所の試算)だった。同氏はホルムズ海峡の封鎖を受けて中東以外からの調達が進んでいると指摘し、米国からの原油の輸入量は前年比513.8%増(約6.1倍)、原油輸入に占める中東の割合(数量)は2025年の94.0%から足もとで60%台に下がり、米国は3.8%から30%台に上がったとしている。ヨリビケが10月18日の記事で伝えた「中東の比率が6割に低下」の流れが、9月も続いた形だ。

米国との貿易を見ると、対米輸出は1兆9630億円で22.9%増えた。自動車(31.0%増)、医薬品(157.7%増)、半導体等製造装置(93.1%増)が伸びた。一方、米国からの輸入は1兆5702億円で44.8%増と、輸出より速く増えた。品目別では原粗油が819.7%増、液化天然ガスが541.6%増、電算機類が130.7%増だった。この結果、対米の貿易黒字は3928億円で前年同月より23.4%減り、10か月連続の減少となった。上半期で見ても対米黒字は2兆1224億円で35.1%減っている。米国産のエネルギーを多く買うほど、対米黒字は小さくなる関係にある。

ほかの業種に関わる数字もある。輸出で最も伸びたのは半導体等電子部品(49.4%増)と半導体等製造装置(43.9%増)で、AI向けの需要が貿易の数字にも表れている。逆に中国向けの自動車の輸出は59.8%減った。輸入側の原油やLNGは、電力・ガス会社の燃料費や、化学・空運などの原料・燃料のコストに直結する品目だ。21日の東京市場では日経平均が大きく反発する中、業種別では鉱業や石油・石炭製品が値下がりの上位に入り(財経新聞、株探)、トヨタやホンダなどの自動車株は米GMの決算を受けて逆行安となった(株探)。ドル円は午前、158円40銭近辺で伸び悩んだ(株探)。

この先は、10月の原油の値段が焦点になる。ニッセイ基礎研究所は、通関ベースの原油価格が10月に4か月ぶりに上昇に転じ、6月の117.4ドルを上回る可能性があるとみている。同研究所は、輸入の数量が輸出より大きく増えたことから、7〜9月期の実質GDPでは外需が前期比0.5%程度の押し下げ要因になると試算し、成長率は小幅なマイナスを予想している(同研究所の見方)。財務省は29日に9月分の確報と10月上旬分の速報を、11月18日に10月分の速報を出す予定だ。日銀は10月29〜30日に金融政策決定会合を開く。

数字で見る

9月 貿易収支5365億円の赤字(5か月連続、財務省 10/21)。市場予想は1809億円の赤字(QUICK集計)
9月 輸出・輸入輸出10兆9723億円(+16.7%)・輸入11兆5088億円(+18.9%)
9月 数量指数輸出+1.9%・輸入−1.6%(前年同月比、財務省)
9月 対米貿易黒字3928億円(−23.4%、10か月連続の減少、財務省)
9月 米国からの原粗油輸入金額+819.7%(財務省)・数量+513.8%(ニッセイ基礎研究所)
2026年度上半期 貿易収支2兆8184億円の赤字(前年同期比で赤字が98.8%拡大、財務省)
9月の為替(税関長公示レート平均)1ドル157.43円(前年同月比6.7%の円安)
ヨリビケの見方実際の赤字5365億円は、市場予想1809億円の約3倍(約3600億円大きい)。米国からの輸入の増加(+44.8%)のうち、原粗油だけで31.4ポイント分、つまり約7割を占める。また輸出は金額で16.7%増えたが数量では1.9%増にとどまり、増えた分の大半は値段(6.7%の円安を含む)によるものだ。対米輸出の+22.9%も、前年9月が13.7%減と落ち込んでいた反動を含み、2年前の9月と比べると約6%増にとどまる計算になる(財務省の数字からヨリビケが計算)。

次に見るポイント

  • 10/29(木)9月分の確報と10月上旬分の速報(財務省)
  • 10/29〜30 日銀の金融政策決定会合(30日 15:30 総裁の記者会見)
  • 11/18(水)10月分の速報:原油の通関価格が上がったか、米国からの原油の割合はどうか
  • 対米黒字の縮小が11か月連続になるか(10月分で確認)

出典

※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。