メタ、議決権のない新株を1株に1株配る AI投資の資金に、実質2分割
米メタ・プラットフォームズは21日(米国時間)の決算発表にあわせ、議決権のない「クラスC株」を新しくつくり、今の株1株につき1株を配ると発表した。2027年1月19日に効力を持ち、株価は実質2分割になる見込み。AI投資の資金集めや社員への報酬に、ザッカーバーグ氏の議決権を薄めずに使える株を用意する狙いだ。
桐生レオン ・ 特集 09:55 ・ 2026年10月22日
メタが米証券取引委員会(SEC)に出した決算資料と届け出によると、取締役会は議決権のない新しい株「クラスC普通株」をつくることを承認した。今あるクラスA株(上場株)とクラスB株(創業者らが持つ議決権の多い株)1株ごとに、クラスC株を1株配る。定款の変更は2027年1月19日に効力を持ち、配る日と基準日はあとで決める。クラスC株はナスダックに上場させる予定で、会社は配ったあとのクラスA株の値段は「1株を2株に分けたのと同じ効果」を映すとしている。定款の変更は、ザッカーバーグ氏夫妻の資産管理会社などが書面で同意して承認済みで、株主総会は開かない。
理由として会社が挙げたのは、AIの競争に必要な投資の大きさだ。新しい株は資金調達、社員への株式報酬、買収などに使える。届け出によると、ザッカーバーグ氏は10月1日時点で議決権の約60.6%を持つ一方、経済的な持ち分(会社の価値のうち本人の取り分)は約13.4%にとどまる。議決権のない株なら、いくら発行しても同氏の支配は揺らがない。前例は2014年のグーグル(現アルファベット)で、同じように1株につき議決権のないクラスC株を1株配り、4月3日から「GOOG」として取引が始まった(phys.org などの当時の報道)。
背景には、お金の出入りの変化がある。同じ日に出た7〜9月期の決算では、売上高は前年同期比26%増の646億ドルと市場予想を上回った一方、設備投資(ファイナンスリースの返済を含む)は349億ドルに達し、本業で稼いだ現金(営業キャッシュフロー328億ドル)を上回った。自由に使える現金(フリーキャッシュフロー)はマイナス21億ドルだった。今年の設備投資の見通しは1300億〜1450億ドルから1350億〜1450億ドルに下限を引き上げた。株価は21日の通常取引を697.52ドル(前日比約0.5%高)で終え、決算後の時間外取引では上昇した。上げ幅は発表直後が大きく、Yahoo Finance の時間外データでは米東部時間16時台に約4%高、20時ごろは約2%高(CNBC は発表後に約3%高と報道)。
日本の株への広がりは、今朝の時点では限られている。株探によると、メタが巨額の投資を続ける方針を示したものの、半導体やデータセンター関連の銘柄の反応は鈍い。22日9時半ごろ、東京エレクトロンは前日比3.75%安、電線のフジクラは2.99%安で、キオクシアやアドバンテストはほぼ横ばいだった(株探・Yahoo Finance の株価)。AI投資の「量」が増えても、それを借金や新しい株で賄う段階に入ったことを、市場がどう受け止めるかが分かれ目になっている。
この先は、クラスC株の配当の基準日と支払日が決まる時期、そして新しい株が実際に資金調達に使われるかが焦点だ。会社は10〜12月期の売上高を730億〜760億ドルと見込み、2027年も「積極的に投資を続ける」としている。28日(米国時間)にはマイクロソフトとアルファベットが決算を出す予定で、AI投資の大きさと資金の出どころを比べる材料になる。
数字で見る
| クラスC株の配り方 | クラスA・B株1株につき1株(議決権なし、ナスダック上場予定)(メタ発表・SEC届け出) |
|---|---|
| 効力が生じる日 | 2027年1月19日(配る基準日・支払日は未定)(同) |
| ザッカーバーグ氏の持ち分(10/1時点) | 議決権 約60.6%/経済的持ち分 約13.4%(SEC届け出) |
| 7〜9月期 売上高 | 646.0億ドル(前年同期比+26%)(メタ発表) |
| 7〜9月期 設備投資/営業CF | 349.1億ドル/327.9億ドル、フリーCF −21.2億ドル(メタ発表) |
| 2026年の設備投資見通し | 1350億〜1450億ドル(従来 1300億〜1450億ドル)(メタ発表) |
| 株価 10/21 終値 | 697.52ドル(前日比約+0.5%)、時間外で上昇(Yahoo Finance・CNBC) |
次に見るポイント
- クラスC株の配当の基準日・支払日の発表(取締役会があとで決める。効力は2027年1月19日)
- 22日(木)の東京市場:東京エレクトロン・フジクラなどAI関連株が下げを広げるか戻すか
- 28日(水)米国時間:マイクロソフト・アルファベットの決算。設備投資の見通しと資金の手当て
- メタが新しい株や社債で実際に資金を集めるか(開示はSECの届け出で確認できる)
出典
- Meta「Meta Reports Third Quarter 2026 Results / Announces Establishment of New Class C Common Stock」(SEC 8-K 添付資料、2026/10/21)
- Meta 情報説明書(SEC PRE 14C、2026/10/21)
- Investing.com(Yahoo Finance 転載)「Meta beats Q3 estimates, approves new nonvoting share class as AI spending surges」
- CNBC「Stocks making the biggest moves after hours: Meta Platforms, Tesla, Lam Research, IBM & more」(2026/10/21)
- 株探「キオクシアは一進一退、メタがAI投資へ種類株発行方針も半導体・DC関連株の反応限られる」(2026/10/22)
- phys.org「Google exits $1,000 stock club after special dividend」(2014/4)
※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。



