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サムスン、エヌビディア向けHBMの基盤チップをTSMC 3nmで製造と韓国紙

韓国のソウル経済新聞は18日、サムスン電子がエヌビディアの次世代カスタムHBM「NVHBM」の基盤チップ(ベースダイ)を、台湾TSMCの3ナノ工程で作る方針だと報じた。エヌビディアがサムスン・SKハイニックス・マイクロンの3社に、ベースダイはTSMCの3ナノ、記憶層(コアダイ)は第6世代DRAM「1c」にそろえるよう求めたという。ロイターが同紙の報道を伝えており、サムスン・エヌビディアからの確認はまだない。長年ファウンドリーで競ってきたサムスンとTSMCが、HBMの製造段階で初めて組む形になる。

白石ひかり ・ 特集 10:54 ・ 2026年10月19日
動画:Reuters「Samsung ships faster HBM4E chip samples to customers」(英語) YouTube で見る

ソウル経済新聞(18日)によると、エヌビディアは8月に公表したカスタムHBM「NVHBM」の供給元3社に対し、ベースダイをTSMCの3ナノ工程で、コアダイを第6世代(1c)のDRAM工程で作るよう求めた。供給元ごとに製法が違うと1つの設計で性能をそろえにくく、会社ごとの検証の手間もかかる、というのが理由だとされる。サムスンはデバイスソリューション部門の社内審査を経てこの条件を受け入れ、NVHBM についてはこれまでの「自社一貫」のやり方を変える。一方、標準品のHBMと、AMD など他の顧客向けのカスタム品は引き続き自社で一貫生産する。同紙によると、今年量産を始めた HBM4 のベースダイは自社の4ナノ工程で作っており、HBM4E のベースダイは量産に向けた検証中、コアダイはいずれも華城・平沢の 1c ラインで作っている。NVHBM の需要が TSMC の生産能力を超える場合に備え、自社ファウンドリーでも作れるかを検証しているという(同紙が業界関係者の話として伝えた)。ロイターがこの報道を18日に配信したが、サムスンとエヌビディアはコメントしていない。

NVHBM は、エヌビディアが8月下旬の決算発表にあわせて公表したカスタムの HBM だ。従来は GPU 側にあったメモリーコントローラーを HBM の土台であるベースダイに移すのが特徴で、エヌビディアは標準の HBM4E と比べて帯域幅が最大30%増、HBM の消費電力が15%減、GPU 側のチップ面積を最大25%空けられるとしている(TrendForce、TechRadar など複数の報道。いずれもエヌビディアの自社説明で、独立した検証はない)。最初の採用先として、アマゾンの半導体部門アンナプルナ・ラボが次世代の AI チップ「Trainium4」で使う計画が示されている。ベースダイにコントローラーが入ることで、HBM の中で「土台」の重みが増す。これが、メモリー3社がベースダイをどこで作るかという今回の話につながっている。

3社の動きを並べると、ベースダイの外部委託は流れになっている。マイクロンは9月30日の決算説明で、NVHBM と標準の HBM4E のベースダイを外部のファウンドリーで作ると説明した(韓国の電子専門紙 The Elec と TrendForce が伝えた。The Elec は TSMC の3ナノ級とみている)。マイクロンのマニッシュ・バティア COO は、外部委託でも NVHBM は販売単価と利益率が標準品より高くなるとの見通しを示した。SK ハイニックスは HBM4 からベースダイを TSMC の12ナノ工程で作っており、HBM4E 以降では3ナノが検討されていると報じられている(韓国紙 EDAILY、TrendForce)。サムスンだけが HBM4 まで自社の工程で通してきた。なおサムスンの方針については、ZDNet Korea が「顧客の要望に応じて自社ファウンドリーと TSMC のベースダイを使い分ける二本立て」と伝えており、ソウル経済新聞の「エヌビディア向けは TSMC 3ナノ」という報道と完全には一致していない。

波及先は3つある。第一に TSMC。10月15日に発表した7〜9月期決算では売上高が467.2億ドル(前年同期比41.2%増)で、3ナノがウエハー売上の33%と最大の工程になった。HBM のベースダイは1個あたりの面積は小さいが、メモリー3社がそろって3ナノを使えば、GPU 本体と同じ最先端ラインを HBM の分も使うことになる。第二に HBM のシェア争い。調査会社カウンターポイントによると、4〜6月期の HBM 売上シェアは SK ハイニックス50%(1〜3月期は58%)、サムスン33%(同21%)、マイクロン18%(同21%)で、サムスンが1四半期で12ポイント伸ばした。サムスンの7〜9月期の速報(10月8日)は営業利益107.4兆ウォン、売上高195兆ウォンで、韓国企業として初めて四半期の営業利益が100兆ウォンを超えた(サムスン発表、コリア・タイムズ)。第三に日本の装置・材料。HBM は薄く削った DRAM を積み重ねて検査する工程が多く、研削・ダイシングのディスコ、メモリーテスターのアドバンテスト、エッチングの東京エレクトロンが関わる。ただし、今日の東京市場では半導体株全体が先週の米ハイテク株安を引き継いで軟調で、10時46分時点でアドバンテストは2.55%安、ディスコは1.63%安、東京エレクトロンは2.16%安(Yahoo!ファイナンス)。ソウルでも KOSPI が3.17%安で始まり、サムスン電子は1.28%安、SK ハイニックスは2.83%安で寄り付いた(コリア・タイムズ、聯合ニュース)。この報道で個別に動いたというより、AI 投資の回収への不安が相場全体を押し下げている日だ。

この先は、まず当事者の正式な発表があるかどうか。報道は業界関係者の話が元で、サムスン・エヌビディア・TSMC のいずれも認めていない。次に決算だ。ディスコは22日16時に、アドバンテストは28日15時30分に、それぞれ4〜9月期の決算を発表する(各社の IR カレンダー)。HBM 向けの装置の受注がどう説明されるかが手がかりになる。サムスンの7〜9月期の確定値は29日(コリア・タイムズ)、SK ハイニックスも10月下旬の見込みで、HBM4・HBM4E の出荷や NVHBM への言及があるかを見る。TSMC は10〜12月期の売上高を523億〜543億ドルと見込んでおり、3ナノの比率がさらに上がるかは来年1月の決算で分かる。エヌビディアは7月期の決算で、部材の供給・生産能力の契約総額が2790億ドル(前四半期は1190億ドル)に膨らんだと開示しており、メモリーの確保が最大の論点になっている(Investopedia、TrendForce)。

数字で見る

報道の中身(ソウル経済新聞 10/18)サムスンが NVHBM のベースダイを TSMC 3nm で製造。エヌビディアは3社にベースダイ TSMC 3nm・コアダイ 1c を要請。サムスン・エヌビディアはコメントせず(ロイター)
NVHBM の性能(エヌビディア説明)標準 HBM4E 比で帯域幅 最大+30%、HBM 消費電力 −15%、GPU 側の面積 最大+25%(TrendForce、TechRadar)
各社のベースダイSK ハイニックス: HBM4 は TSMC 12nm(EDAILY)/マイクロン: HBM4E・NVHBM は外部ファウンドリー(9/30 決算説明、The Elec)/サムスン: HBM4 は自社 4nm(ソウル経済新聞)
HBM 売上シェア 2026年4〜6月期(カウンターポイント)SK ハイニックス 50%(前期 58%)、サムスン 33%(21%)、マイクロン 18%(21%)
TSMC 7〜9月期(10/15 発表)売上高 467.2億ドル(+41.2%)、粗利益率 66.4%、3nm がウエハー売上の 33%、10〜12月期の見通し 523億〜543億ドル
サムスン 7〜9月期 速報(10/8)営業利益 107.4兆ウォン、売上高 195兆ウォン。確定値は 10/29(コリア・タイムズ)
10/19 の株価(寄り付き〜10:46)KOSPI 寄り −3.17%、サムスン電子 −1.28%、SK ハイニックス −2.83%(コリア・タイムズ)/アドバンテスト 33,650円 −2.55%、ディスコ 52,970円 −1.63%、東京エレクトロン 10,400円 −2.16%(Yahoo!ファイナンス 10:46 時点)
ヨリビケの見方TSMC の7〜9月期の売上高467.2億ドルのうち3ナノは33%なので、3ナノだけで四半期に約154億ドル(ヨリビケ計算)。GPU 本体に加えて HBM のベースダイもこのラインに集まる構図だ。HBM のシェアでは、カウンターポイントの数字でサムスンが1四半期に12ポイント伸ばし、SK ハイニックスが8ポイント落とした。首位との差は37ポイントから17ポイントに縮まっている。ただし今回の報道は確認されておらず、シェアの数字は報道より前の4〜6月期のものだ。

次に見るポイント

  • サムスン・エヌビディア・TSMC が報道を認めるか(正式発表の有無)
  • 22日(木)16:00 ディスコの4〜9月期決算、28日(水)15:30 アドバンテストの4〜9月期決算:HBM 向け装置の受注の説明
  • 29日(木)サムスン電子の7〜9月期の確定決算(コリア・タイムズ)、SK ハイニックスは10月下旬の見込み:HBM4・HBM4E の出荷と NVHBM への言及
  • カウンターポイントなど調査会社の7〜9月期の HBM シェア:サムスンの伸びが続いたか
  • TSMC の10〜12月期(来年1月発表):3nm の比率と、AI 向けの生産能力の説明

関連する動画

動画:서울경제TV(ソウル経済TV)「엔비디아, 자사 맞춤형 HBM 기술 NVHBM 공개」(韓国語、NVHBM の公開) YouTube で見る
動画:Arirang News「Samsung Electronics first in world to ship 12-layer HBM4E samples」(英語) YouTube で見る

出典

※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。