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ヨリビケ
特集 | 原油・中東

原油、ブレントは一時110ドル ホルムズ海峡で「タンカー2隻が機雷に」とイラン革命防衛隊 日本の原油輸入は中東の比率が6割に低下

中東の緊張で原油が上がっている。北海ブレント先物は16日に一時110ドルをつけ、109.86ドルで終えた。WTIは約1か月ぶりに100ドル台に戻した。イラン革命防衛隊は17日、ホルムズ海峡で原油タンカー2隻が機雷に触れて炎上したと発表した(独立した確認はない)。週明けの東京市場では、燃料費がかさむ業種と、資源を扱う業種で、原油の値動きが意識されやすい。

御堂聡一 ・ 特集 23:05 ・ 2026年10月18日
動画:Al Jazeera English「Iranian TV airs video said to show tanker explosion in Hormuz」(英語) YouTube で見る

16日のニューヨーク市場で、北海ブレント先物は前日比3.94ドル(3.72%)高の109.86ドルで終え、取引中には110.00ドルまで上がった(Investing.com、Trading Economics)。WTI先物は6営業日続伸し、株探・フィスコによると約1か月ぶりに100ドルの大台を回復した。終値は101ドル台(Investing.comの終値は101.41ドル、フィスコの清算値は101.70ドル)。1週間ではブレントが4.9%、WTIが10.4%上がった(10月9日→16日、ヨリビケ計算)。同じ日の米10年債利回りは5.09%(米財務省)と5%台が続き、原油高はインフレと金利の両方に効いている。

背景は、ホルムズ海峡をめぐる衝突の激化だ。アルジャジーラによると、イラン革命防衛隊は17日、それぞれ約200万バレルの原油を積んだタンカー2隻が、イランが認めていない航路を通ろうとして機雷に触れ、炎上したと発表した。船名や積み荷の出どころは明らかにされておらず、独立した確認は取れていない。イラン軍も、木曜と金曜にオマーン湾の「立ち入り禁止区域」でタンカー2隻が炎上したと別に発表している。先週の日曜には1日で6隻が海峡の周辺で攻撃され、2月末に戦争が始まってから最多だった(海上警備会社Vanguard、国際海事機関、英海事貿易機関)。通過する原油は、データ会社Kplerによると10月8日の約2080万バレルから11日には約290万バレルに落ちた。米国側は、エネルギー省が16日、戦略石油備蓄から最大1700万バレルを貸し出す入札を出したとロイターが伝えた。開戦以来の放出は約1億3250万バレルになる。トランプ大統領は木曜のNewsmaxのインタビューで、核兵器は使わない、地上部隊も考えていないと述べ、戦争を終える合意は11月3日の中間選挙の後になるとの見方を示した。

日本株への波及は、16日の東証にすでに表れていた。日経平均は898円(1.39%)高と7営業日ぶりに反発したが、フィスコの15時45分の集計では、33業種のうち電力・ガス業だけが0.74%下げた。燃料費が上がると発電コストがかさむ業種だ。石油・石炭製品(0.60%高)、空運業(0.66%高)、海運業(0.22%高)も上がりはしたが、機械(2.44%高)や輸送用機器(2.12%高)に比べると伸びは小さい。米国では、半導体株が下がる一方でエネルギーと不動産が上がり、精製の利ざやが広がったと速報したエクソンモービルは2.46%高だった(フィスコ)。為替は1ドル157円99銭(フィスコ)で、日経によると、原油高は円の重荷になっている。

一方で、日本の原油の調達先は1年で大きく変わっている。資源エネルギー庁の石油統計速報によると、8月の原油輸入は1236万キロリットルで前年同月より13.1%増え、そのうち中東の比率は60.7%と、前年同月より35.1ポイント低かった。米国からの輸入は7月に最大の調達先になり、8月も416万キロリットルと前年同月の12倍を超えた。ホルムズ海峡の混乱が日本の「量」に効く度合いは、1年前より小さい。ただし原油の値段は世界でつながっているので、「価格」は電力・ガス、空運、化学(原料のナフサ)、物流の燃料費にそのまま効く。

この先は、週明けのアジア時間の原油先物と、週後半の指標が焦点になる。21日に9月の貿易統計(原油の輸入額)、23日に9月の全国消費者物価指数(フィスコの予想は総合2.1%)が出る。米国では27〜28日にFOMC、日本では29〜30日に日銀の会合がある。原油高が物価の見通しをどう変えるかは、どちらの会合にも関わる。中東については、トランプ氏が言う「中間選挙の後」まで緊張が続くのかどうかが、原油の値段を左右する前提になる。

数字で見る

ブレント先物 10/16 終値109.86ドル(+3.72%、一時110.00ドル。Investing.com・Trading Economics)
WTI先物 10/16101ドル台、6営業日続伸、約1か月ぶりの100ドル台(株探・Investing.com)
1週間の上昇(10/9→16)ブレント +4.9%、WTI +10.4%(ヨリビケ計算)
米10年債利回り 10/165.09%(米財務省)
ホルムズ海峡の原油通過量10/8 約2080万バレル → 10/11 約290万バレル(Kpler、アルジャジーラ)
日本の原油輸入 8月1236万kl(+13.1%)、中東依存度 60.7%、米国 416万kl(資源エネルギー庁)
東証33業種 10/16電力・ガス −0.74%(唯一の下落)、石油・石炭 +0.60%、空運 +0.66%(フィスコ 15:45)
ヨリビケの見方資源エネルギー庁の統計から計算すると、8月の原油輸入に占める中東の比率60.7%は、前年同月では95.8%だった。1年で輸入の3分の1強が中東以外、主に米国産に置き換わった形で、米国産は輸入全体の約34%(416万÷1236万kl)を占める。ホルムズ海峡の混乱が日本の調達量に効く度合いは1年前より小さいが、ブレントは1週間で4.9%上がっており、価格を通じた燃料費への影響はそのまま残る。

次に見るポイント

  • 19日(月)アジア時間の原油先物:ブレント110ドルの前後で推移するか
  • 21日(水)9月の貿易統計:原油の輸入額と数量
  • 23日(金)9月の全国消費者物価指数:エネルギーの寄与(フィスコ予想 総合2.1%)
  • 27〜28日 FOMC、29〜30日 日銀金融政策決定会合:原油高を物価の見通しにどう織り込むか
  • 11月3日 米中間選挙:トランプ氏が「合意は選挙後」と述べた中東の交渉

出典

※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。