GM、7〜9月期は予想超えも株価5%安 通期見通しの上限を下げる
米ゼネラル・モーターズ(GM)は20日(米国時間)の取引開始前に7〜9月期の決算を発表した。売上高は500億ドル、調整後の1株利益は3.70ドルと、どちらも市場予想を上回った。ただ、通期の利益見通しの幅を上下から狭めて上限を下げたことで、株価は寄り付き後に約5.5%安の78ドル台で推移している(日本時間22時44分時点)。
神崎玲子 ・ 特集 22:55 ・ 2026年10月20日
GMの発表によると、7〜9月期の売上高は500億1500万ドルで前年同期比2.9%増、株主に帰属する純利益は33億3500万ドルと前年の13億2700万ドルから大きく増えた。前年は電気自動車(EV)の計画見直しに伴う費用が15億9200万ドルあり、今期は2億3800万ドルに縮んだことが効いている。本業のもうけを示す調整後の利払い・税引き前利益(EBIT)は41億600万ドルで21.6%増、調整後の1株利益は3.70ドルで32.2%増だった。北米事業の調整後EBITの利益率は8.7%と、前年の6.2%から上がった。同時に、60億ドルの自社株買いを終えたとして、期限のない200億ドルの新しい自社株買いの枠を決めた。
それでも株が売られた理由は、通期の見通しにある。調整後EBITの見通しは「140億〜160億ドル」から「145億〜155億ドル」に、調整後1株利益は「12.00〜14.00ドル」から「12.75〜13.75ドル」に変えた。真ん中の値(150億ドル、13.25ドル)は変わっていないが、上限は下がった。Investing.comは、見通しの引き上げを期待していた投資家には物足りない内容だったと伝えている。米国の新車販売は67万1000台で前年同期の71万台から5.5%減り、米国シェアも16.8%から16.1%に下がった。北米以外の事業の調整後EBITは2800万ドルで、前年の2億2600万ドルから87.7%減った。
見通しの中で注目されたのが、原材料や物流、メモリー半導体(DRAM)の値上がりによるコスト増だ。Yahoo Financeなどによると、GMはこのコスト増を約20億ドルと見積もり、これまで示していた15億〜20億ドルの幅の上限に寄せた。メモリーごとの金額は示していない。AIのデータセンター向けの需要でメモリーの値段が上がり、それが自動車メーカーのコストとして跳ね返っている構図だ。メモリー会社にとっては値上げが通っている裏付けになる一方、車1台あたりの半導体が増え続ける自動車業界には重荷になる。一方、関税の総額は年間25億〜35億ドルと見込む幅の下限に近づいているという(Yahoo Finance)。
株価の反応は、同じ自動車株の中でも分かれた。米フォードは約1%安にとどまり、トヨタ自動車とホンダの米国預託証券(ADR)は小幅高だった(Yahoo Finance、日本時間22時44分時点)。GMの下げは決算前に予想されていた振れ幅(オプション市場で上下約6.4%、Investing.com)の範囲内で、市場全体の下げではなくGM固有の要因によるものだとの見方が出ている。メモリーのコスト増は日本の自動車メーカーや部品メーカーにとっても共通の課題で、11月にかけて出る日本勢の中間決算で同じ項目がどう語られるかが次の焦点になる。
この先は、21日(米国時間)の引け後にテスラ、28日(同)にフォードの決算が予定されている。GMは自社株買いで発行済み株式数を昨年末の9億400万株から9月末の8億4900万株まで減らしており、新しい200億ドルの枠をどの速さで使うかも、1株あたりの数字を左右する。
数字で見る
| 売上高(7〜9月期) | 500億1500万ドル、前年同期比+2.9%(GM発表) |
|---|---|
| 調整後EBIT・調整後1株利益 | 41億600万ドル(+21.6%)・3.70ドル(+32.2%)(GM発表) |
| 通期の調整後EBIT見通し | 145億〜155億ドル(前回 140億〜160億ドル)、中央値150億ドルは据え置き(GM発表) |
| 通期の調整後1株利益見通し | 12.75〜13.75ドル(前回 12.00〜14.00ドル)(GM発表) |
| 米国の新車販売(7〜9月期) | 67万1000台(前年71万台、−5.5%)、米国シェア16.1%(前年16.8%)(GM発表) |
| 原材料・物流・メモリーのコスト増(通期) | 約20億ドル、従来の15億〜20億ドルの上限(Yahoo Finance、mlq.ai) |
| 株価 10/20 | 78.18ドル(前日比−5.49%、日本時間22:44時点)。取引開始前は6〜7%安(Yahoo Finance、Investing.com) |
次に見るポイント
- 10/21(米国時間)引け後 テスラの7〜9月期決算(日本時間22日朝)
- 10/28(米国時間)引け後 フォードの7〜9月期決算(予定、日本時間29日朝)
- 11月上旬 日本の自動車大手の中間決算(トヨタは昨年11月5日)で、メモリーなど部品コストの説明
- GMの新しい200億ドルの自社株買いの進み方(次の四半期の発行済み株式数)
- 12/17 GMの四半期配当0.18ドルの支払い(権利確定は12/4)
出典
- General Motors「GM releases 2026 third-quarter results」(SEC Form 8-K、2026/10/20)
- Yahoo Finance「GM beats on Q3 results, tightens profit outlook, and unveils new $20 billion buyback」
- Investing.com「Why is General Motors stock sliding today?」
- Yahoo Finance「Why GM's memory chip guidance could help stabilize stocks like Micron and Sandisk」
- mlq.ai「GM's $1.5 Billion to $2 Billion Cost Warning Includes DRAM」
- StockTitan(GMの発表文の全文)
※情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身で。



